もっと好きになるフィリピン

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金融・経済・投資の状況が良く分かる

もっと好きになるフィリピン

第2回 日本企業の進出を重視する銀行

フィリピン経済の成長が止まらない。
外国企業の投資も増加し、日本企業も熱い視線を送り始めている。
元気な国には資金も人材も集まるので、今後さらにビジネスチャンスが拡大していくだろう。
銀行の支援・体制も整い、事業の展開を本格化するのはまさに今しかない。フィリピンの金融事情を報告する──。

 

好調が続くフィリピンの金融機関

フィリピンの最大銀行(資産規模など)であるBDOユニバンク(BDO)は10月29日、2018年9か月間(1月~9月)の決算速報を発表した。

それによると、今9か月間の総営業収入は前年同期(以下同様)13%増の1073億ペソ(約2303億円)に達した。主力の純金利収入が20%増の715億ペソ(約1534億円)と好調であった。主に融資が順調に増えたことによる。一方、非金利収入は3%増の358億ペソ(約768億円)と一桁増にとどまった。保険料・手数料収入が21%増と好調であったが、金融市場変調で売買益・外為益が71%急減したことが響いた。

営業費用は、新規出店コスト増や印紙税増税などにより13%増の717億ペソ(約1539億円)へと増加した。これらの結果、純利益は6%増の215億ペソ(約461億円)に達した。

2017年の年間純利益は前年比7%増の281億ペソ(約603億円)で連続最高益更新を継続したが、2018年も堅調な推移となっている。BDOは、2018年純利益目標を同10%増の310億ペソ(約665億円)と設定しているが、達成可能な状況である。

 

日本企業向けのサービスが拡大している

BDOの資産規模トップの座は一段と強固になっている。また、財務体質の改善も進んでおり、9月末の不良債権(NPL)比率は1・1%と前年同月末の1・3%からさらに改善、不良債権貸倒引当率は175%で同136%から一段と向上している。また、自己資本額は約3118億ペソに達しており、バーゼルⅢ基準による自己資本比率(CAR)は13・9%、普通株中核自己資本(CET1)比率は12・3%で、中央銀行の各々の最低基準である10%、8・5%をかなり上回っている。

BDOの本店所在地はマニラ首都圏 マカティ市。フィリピン全土に1200店以上の店舗、4000台以上のATMを有している。海外には、香港支店を含む25拠点を有している。

また、ジャパンデスクを設置しており、日系企業向けサポート体制が充実している。日本企業のフィリピン進出増加に対応すべく、日本の国際協力銀行(JBIC)や有力地方銀行との提携を進めてきている。

 


伊佐治稔 (いさじ・みのる)
ソリューションズ・フィリピン・コーポレーション、フェニックス・エコノミックデータ&スタディーズのCEO兼代表取締役社長。

1952年、長野県飯田市出身。早稲田大学商学部卒業後、森永乳業株式会社に入社、乳製品マーケティング業務を行なう。その後、三洋経済研究所、シンガポール三洋マーチャントバンク、フィリピンALLASIA証券の社長代行などを経て、2000年にPhoenix Economic Data & Studiesを設立。2007年8月にWCL Solutions (Phil) Corp.社長兼最高経営責任者(100%日本資本)に就任して現在に至る。日本証券アナリスト協会検定アナリストとして20年以上にわたって、日本・シンガポール・タイ・フィリピン・米国などの経済・株式などの調査活動に従事。アジア経済界で築いた強力な人的ネットワーク、ビジネス慣行・資本市場に関する詳細な知識、資金運用ノウハウを生かし、フィリピンに進出する日系企業・個人を支援している。