もっと好きになるフィリピン

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第3回 日本ブランドのコンビニ再編が活発化

近年、日本ではコンビニエンス・ストア業界(コンビニ業界)において再編の動きが活発化している。
今後フィリピンにもその影響は波及し、再編が活発化していくのは間違いない。
すでに昨年からコンビニ業界に影響を及ぼしそうな発表が目立ってきており、この流れは止まらないだろう。フィリピンのコンビニ事情を報告する。

 

ミニストップが499店ファミリーマートが69店に

2018年12月28日、イオンが「三菱商事との包括業務提携関係を解消することを決定した」と発表し、三菱商事が保有するイオン株式が売却されることが明らかとなった。すなわち、三菱商事がローソンを子会社として保有する一方、ミニストップを有するイオンの筆頭株主でもあるという状況が変わることになる。

フィリピンでは、この動きを先取りするような動きがすでに起こっている。ゴコンウェイ財閥の有力小売企業であるロビンソンズ リテイル・ホールディングス(RRHI)は2018年9月3日、三菱商事との間で、三菱商事の保有するロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)の株式8%を取得することで合意したと発表した。

ミニストップはRCSIによってフランチャイズ展開されてきた。RCSIは、三菱商事、ミニストップ本社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソンズ リテイル(RRHI)グループとの共同事業であった。2000年にRCSIとミニストップ本社との間でカントリー・フランチャイズ契約が正式締結され、2000年12月にミニストップのフィリピン1号店がオープンした。RRHIは2013年11月にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場された。

三菱商事はRCSI株式4%を株式会社ミニストップに売却することでも合意した。これらの売買完了でRCSIの保有比率は、RRHI59・1%、ミニストップ本社40・9%、三菱商事ゼロとなる。すなわち、三菱商事はフィリピンのミニストップから資本撤退することになった。

 

ローソンは出資比率が100%に

一方、フィィリピンの有力小売企業ピュアゴールド・プライスクラブ(ピュアゴールド、本社:マニラ市、フィリピン証券取引所上場)は2018年4月27日、コンビニエンス・ストア子会社であるPGローソン(本社:マニラ市)の株式490万株(70%)を、合弁相手のローソン株式会社(ローソン)に売却することで合意、合意書に署名したと発表している。

その時点での出資比率はピュアゴールド70%、 ローソン(ローソン アジア・パシフィック)30%となっていた。この株式売買完了により、ピュアゴールドは「ローソン」事業から撤退。ローソンのフィリピンにおけるコンビニ事業の保有比率は100%に高まった。

また、2018年1月、石油製品販売大手フェニックス・ペトロリアム・フィリピンズ(PNX、本社:ダバオ市、フィリピン証券取引所上場)が、フィリピンでファミリーマートを運営する「フィリピンファミリーマートCVS社」(PFM)を完全買収した。それまでのPFM出資比率はSIAL(アヤラグループとSSIの折半合弁企業)60%、日本のファミマート37・6%、伊藤忠商事2・4%であった。PNXによるPFM株式100%取得により、ファミマートはフィリピンでのコンビニ出資・運営からは撤退、フィリピン事業をライセンス展開へと転換した。

 

再編の動きが加速して戦国時代に突入

このような、日本ブランドによるコンビニ業界再編の動きが活発化する中で、各チェーンの店舗数の推移は以下のとおり。

業界断トツのセブン・イレブン(資本面では台湾系、プレジデント・チェーン・ストア〈ラブアン〉ホールディングスが52・216%を保有、9月末2442店)を、ミニストップなどが追いかけようとする構図になっている。

ミニストップとファミリーマートは、2017年から2018年まで店舗数を減少させたが、新体制のもとで、2018年後半には店舗数減少に歯止めがかかった。2018年末には、ミニストップが499店(2017年末496店)、ファミリーマートは69店(同66店)と小幅ながら再増加傾向を見せている。最後発のローソンの2018年の店舗数が38店(推定値)で、緩やかながら着実に増加してきている。

 


伊佐治稔 (いさじ・みのる)
ソリューションズ・フィリピン・コーポレーション、フェニックス・エコノミックデータ&スタディーズのCEO兼代表取締役社長。

1952年、長野県飯田市出身。早稲田大学商学部卒業後、森永乳業株式会社に入社、乳製品マーケティング業務を行なう。その後、三洋経済研究所、シンガポール三洋マーチャントバンク、フィリピンALLASIA証券の社長代行などを経て、2000年にPhoenix Economic Data & Studiesを設立。2007年8月にWCL Solutions (Phil) Corp.社長兼最高経営責任者(100%日本資本)に就任して現在に至る。日本証券アナリスト協会検定アナリストとして20年以上にわたって、日本・シンガポール・タイ・フィリピン・米国などの経済・株式などの調査活動に従事。アジア経済界で築いた強力な人的ネットワーク、ビジネス慣行・資本市場に関する詳細な知識、資金運用ノウハウを生かし、フィリピンに進出する日系企業・個人を支援している。

 

 

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