料理から文化の浸透が始まるベトナムに根付いた日本の食文化3

ベトナムに根付いた日本の食文化

第3回 ベトナムでレストランを経営する際の重要ポイント

約1000店の日本食レストランが鎬を削っているベトナムですが、当然ながら全てのレストランが繁盛している訳ではありません。本稿ではベトナムでレストランを経営する場合の重要なポイントについて解説したいと思います。

高級店はベトナム人がターゲット

ベトナムでレストランを経営する場合のポイントですが、重要度の高いポイントは次のような10項目です。
①お店のコンセプトとターゲット
②高級店(日本人駐在員、日本人以外の外国人、地元のベトナム人)
③中級店(日本人駐在員、日本人以外の外国人、地元のベトナム人)
④大衆店(日本人現地採用者、地元のベトナム人)
⑤メニューと価格
⑥店名
⑦立地
⑧外装・内装
⑨料理人及びスタッフの採用と教育
⑩仕入先の確保
①については、最重要項目となります。まずは、高級店からご案内しましょう。高級店だからと言って、必ずしも日本人や外国人がターゲットになるとは限りません。社会主義国のベトナムでは、政府関係者や企業経営者の中には日本人と比べものにならないほどのお金持ちもいます。いわゆる不労所得が給料を上回るような人も数多くいます。特に政府のお膝元であるハノイ地区では、平日のランチタイムから刺身の舟盛りと日本酒で宴会を開いているようなベトナム人のグループを見かけることがしばしばあります。
このような人々をターゲットとする場合は、それなりの高級感のある店構えが必要になることは言うまでもありません。
また、舌の肥えたベトナム人の高級官僚を満足させるには、良質な食材の仕入れと腕の良い料理人の確保は不可欠です。

もはや日本人客などいらない

ホーチミンに数年前にオープンした「鮨励(Sushi Rei)」という高級店は、コース料理が200米ドルほどでカウンターが8席、個室が1部屋という小さなお店ですが、毎日予約で満席のようです。個室は最低6万円以上の注文をしないと予約できません。同店では毎日築地から寿司のネタを空輸していて、顧客の8割以上はベトナム人だそうです。お酒を飲むと、1人で300~400米ドルという価格帯では、日本人駐在員もそう簡単には行けません。

価格帯はもう少し下がりますが、ベトナム人に受けている高級店としては2013年創業の「Sushi Hokkaido Sachi」が挙げられます。このお店はチェーン展開をしていて、食材は北海道から空輸しています。同店のメニューは寿司、刺身だけではなく、天ぷら、鍋物、麺類など豊富です。和牛寿司のメニューもあります。同店の売りは「20年以上の経験を持つ日本から来たシェフにより、慎重に選ばれた日本直輸入の高品質な食材、またはローカルの新鮮な食材だけを使っている」ということで、価格帯は刺身の盛り合わせが1500円~と地元の他の日本食レストランに比べると高めですが、どのチェーン店も予約しないと席の確保が難しい人気店となっています。

「Sushi Rei」も「Sushi Hokkaido Sachi」も店名の頭に「Sushi」が付いているのが成功の一因でもあります。また、「北海道」は南国の人々にとって憧れの地にもなっているので、「Sushi Hokkaido Sachi」は完璧なネーミングと言えるでしょう。

ちなみに、両店共に英語の「Sushi」ではウエブ検索が容易ですが、日本語の「鮨」や「寿司」で検索しても、なかなか見つけられません。やはり、メインターゲットはベトナム人のようです。

次回は成功している中級店についてご案内したいと思います。

 


斎藤 公 (さいとう・ひろし)
ソルテックトレーディング株式会社
メディア事業部長

PHP研究所に入社し、英文月刊誌「PHP Intersect」を創刊。同社ニューヨーク事務所長を務めた後、CBC 中部日本放送の関連会社に転職し、名古屋港再開発プロジェクトの企画立案を担当する。 放送関連の経験を買われ、20年以上前にシンガポールで日本語ラジオ放送「FM96.3」の開局に従事。その後、ベトナムに拠点を移し、「ハローベトナム」「インベストアジア」を創刊し、日系企業の海外進出支援事業に携わっている。

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