料理から文化の浸透が始まるベトナムに根付いた日本の食文化5

ベトナムに根付いた日本の食文化

第5回 大衆店の成功事例

約1000店の日本食レストランが鎬を削っているベトナムですが、当然ながら全てのレストランが繁盛している訳ではありません。本稿ではベトナムでレストランを経営する場合の重要なポイントについて解説しております。今回は大衆店を取り上げて説明しましょう。

 

大衆店はいかにベトナム人の若者に受けるかがポイント

ベトナムで成功している日本食レストランチェーンの中でも、最も成功していると言えるのが「Tokyo Deli」です。ベトナム全国で20店舗に迫る勢いで拡大し続けています。寿司をメインにしていますが、メニューはバラエティーに富んでいて、鍋物、揚げ物、焼き物、麺類、丼物などほとんどの日本食が食べられます。決して高級感のある内装ではありませんが、清潔感があるシンプルな内装で、若者同士のカップル、友達連れ、家族連れでにぎわっています。

月給が500~800米ドル前後と思われる、ちょっとおしゃれなホワイトカラーのベトナム人の若者に大人気のお店です。平日でも予約をしていないと、夜は写真のように席が空くまで待たされます。

お味は日本人駐在員の方々にはちょっと物足りないと思われますが、日本に行ったことのないベトナム人には、高級感のある日本食として大人気です。当地では日本食はヘルシーというイメージが強く、日本食のみならず、日本の健康食品も人気があります。

大衆店で成功するには、「日本食らしさ」と「駐輪場」の確保が大事

高級店・中級店とは異なり、大衆店に来るベトナム人は本格的な日本食を知らない人が多く、盛り付けやメニューの豊富さでお客を引き付けることができるので、材料費を抑えて、いかに販売価格を抑えることができるのかが勝負になります。

したがって、日本人の板前さんやシェフは不要で、日本食レストランで働いた経験のあるベトナム人レベルで十分通用します。ただし、接客レベルはローカルレストラン並みでは通用しないので、お茶がなくなったら継ぎ足すとか、お絞りを出すとかといった日本では当たり前のサービスは提供しなければなりません。本格的な日本食の味は分からなくても、日本食レストランの雰囲気は「非日常」を感じさせるために重要な要素になります。

また、もう一つの重要ポイントは、ベトナム人の交通手段はバイクがほとんどなので、駐輪場の確保がマストになります。地階に駐輪場のスペースがあればベストですが、店の周辺に駐輪場がないと若者は来ません。

また、バイクの盗難が頻繁に起こる当地では、駐輪場とセットで監視員を採用しなければなりません。人件費の安いベトナムでは、駐輪場の監視員を毎日雇っても1人月額200米ドルくらいで済みます。バイクを預けても安心して食事ができるのが、ベトナムでの外食の重要ポイントです。

 


斎藤 公 (さいとう・ひろし)
ソルテックトレーディング株式会社
メディア事業部長

PHP研究所に入社し、英文月刊誌『PHP Intersect』を創刊。同社ニューヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC)の関連会社に転職し、名古屋港再開発プロジェクトの企画立案を担当。放送関連の経験を買われ、1998年にシンガポールで日本語ラジオ放送「FM96.3」の開局に従事。2007年にベトナムに拠点を移し、「ハローベトナム」「インベストアジア」を創刊する。現在はベトナムの工業団地開発会社で日系企業の誘致を担当。

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