料理から文化の浸透が始まるベトナムに根付いた日本の食文化6

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ベトナムに根付いた日本の食文化

第6回 大手チェーン店の目覚ましい進出

約1000店の日本食レストランが鎬を削っているベトナムですが、当然ながら全てのレストランが繁盛しているわけではありません。本稿ではベトナムでレストランを経営する場合の重要なポイントについて解説しております。今回は大手チェーン店の進出についてご説明します。

進出の成否はローカル選びにかかっている

ここ4~5年の間に外資系サービス業に対する規制が緩和されたこともあり、日本の大手チェーン店のベトナムへの進出が相次いでいます。

「丸亀うどん」「大戸屋」「すき家」「吉野家」「牛角」「CoCo壱番屋」などが挙げられます。この中で「丸亀うどん」「すき家」「吉野家」などは1人500円程度の大衆価格で、若いベトナム人のカップル、友達連れなどに人気です。

「大戸屋」「牛角」「CoCo壱番屋」はもう少し上の中間層を狙っており、1人当たりの単価は1000円以上になりますので、客層的にはまだベトナム在住の日本人の方が多く、ベトナム人の間に浸透するのには、もう少し時間が掛かりそうです。

これらのチェーン店はいずれもローカルのパートナー会社と提携しており、必ずしも提携関係が上手く行っているとは限りません。お店自体は流行っていても、その様子を見たパートナー会社が提携条件の変更を申し出てきたり、メニュー内容に口を出してきたりして、提携関係を見直さなければならないような状況も起こっている場合があるようです。まだまだ外資100%では進出が容易ではないレストラン業界では、ローカルのパートナー選びがベトナム進出の成否のポイントになります。

 

味覚の違いを認識することが大事

運良くローカルのパートナーが見つかったとしても、日本人とベトナム人の味覚の違いを認識できないと、集客にはつながりません。日本食でベトナム人に一番受けているのは、やはり寿司と焼肉です。寿司は世界的に認知されている日本食なので別格として、ベトナムで受けているその他の日本食では焼肉(バーベキュー)が筆頭に挙げられます。

「牛角」は2014年にハノイに1号店をオープンして以来、今やハノイに6店舗、ホーチミンに4店舗と合計10店舗を展開しています。2018年11月にはホーチミン市の日本人街のど真ん中のレタントン通りに10店舗目をオープンしました。

焼肉に関しては、日本のバーベキューソースもベトナム人に受け入れられていますが、ラーメンに関してはそうでもないようで、ラーメンの「山小屋」は進出して1年足らずで撤退してしまいました。ベトナムにはフォーを始めとするバリエーション豊富な麺がありますが、日本のラーメンの豚骨味や醤油味は、あまりベトナム人には受けが良くないようです。

日本の味をそのまま持ってきて通用するモノとそうでないモノがあるので、ローカルの人に味見をしてもらって、しっかりとマーケティングをすることが必要です。


斎藤 公 (さいとう・ひろし)
ソルテックトレーディング株式会社
メディア事業部長

PHP研究所に入社し、英文月刊誌『PHP Intersect』を創刊。同社ニューヨーク事務所長を務めた後、中部日本放送(CBC)の関連会社に転職し、名古屋港再開発プロジェクトの企画立案を担当。放送関連の経験を買われ、1998年にシンガポールで日本語ラジオ放送「FM96.3」の開局に従事。2007年にベトナムに拠点を移し、「ハローベトナム」「インベストアジア」を創刊する。現在はベトナムの工業団地開発会社で日系企業の誘致を担当。