ベトナムの教育を変える れんせいの挑戦

学びの土壌作りを目標に長期的視野に立った教育を

文 PAベトナム編集部

 2015年9月の開校から2年経過した「れんせいエデュケーション・センター」の最近の取り組みを紹介したい。「子供たちの興味を惹きつけ、学びの土壌を培う」という一貫した教育理念のもと、ベトナムのホーチミン市内に3か所あるエデュケーション・センターで教育を行なうことに加え、2016年からは公立の小中学校に向けて、カリキュラムと講師の派遣を行なっている。人材育成、とりわけ基礎教育に重きをおき、ベトナムの発展に貢献する「れんせいエデュケーション・センター」の教育について、「Rensei VietnamCo., Ltd.」President今野裕二氏にお話を伺った。

ベトナムにはなかった新しい教育スタイル

──ベトナムでのエデュケーション・センター開校から3年目を迎え、新しい取り組みはありますか?

 

2016年から、ホーチミン市内の公立小学校4校と中学校1校に対して、私どもの「理科実験」「ロボット教室」「日本語」という3つのカリキュラムと講師の派遣を行なっています。これは学校側からの要請をいただき、開始したものです。学校側としては、他校と異なる教育で特長を出したいという思いであったり、理科教育に重点を置きたいという方針から「れんせいエデュケーション・センター」に声がかかったのだと思います。我々がベトナムでエディケーション・センターの開校を決めた当初は、日本国内で展開してきたスタイルである、高校受験や大学受験の進学サポートを、そのまま輸出するというスタンスで進めていました。しかし、ベトナムでも学習塾文化はあるものの、日本と異なり、学校の先生が自ら補講を行なうスタイルが多いことから、そこに参入するのは難しいと知り、開校にあたり、大胆な方向をすることにしました。現在あるベトナムの教育スタイルと共存でき、さらにベトナムに貢献するにはどうしたらいいのかを考えました。リサーチをするうちに、ベトナムの学校では理科系の科目に実験がなく、講義を聞いて板書を書き写すだけの受動的な授業であることがわかりました。そこで、体験学習を通し、右脳開発を中心とする「理科実験」や「ロボット教育」を提供することにしたのです。エディケーション・センターに通う子供たちや父兄の評判が広がりを見せ、公立学校からのオファーを受けることになったのだと思います。

──ベトナムにはなかった新しい教育スタイルを普及させる上で、困難なことは
ありますか?

 

やはり、日本と同じようにベトナムでもテストの点数に重きを置く風潮があります。テストに合格しなければ落第したり、目標とする高校や大学の入学試験をパスすることができないため、目の前にあるテストのための勉強、いわゆる知識の詰め込みに力を注がなくてはなりません。父兄の中には、長期的な視野に立ち、子どもに学ぶ土壌、能動的な学習意欲を持たせることが大事だという先進的な考えを持つ方もいらっしゃるのですが、国全体の教育制度とのギャップもあり、そこにジレンマが生まれているのです。長い目で見れば、しっかりとした学びの土壌をつくることは、知識を吸収することにもつながり、決して相反することではないのですが、我々の提供する教育は結果が出るまでに時間を要するものなので、そのあたりをどのように進めていくのかが難しいところでもあります。

 

 

教育を通してベトナム社会に貢献したい

 

──日本からの教育機関として、教育の中に何か日本的なものが盛り込まれているのでしょうか?

 

我々の教育理念は2つあります。1つは、これまでお話したように「学びの土壌を培い、創造力と思考力を養う」ことです。そしてもうひとつは、「忍耐力と周囲を思いやるコミュニケーション能力を養う」ことです。特に、この2つ目の理念に日本的な要素が含まれていると思います。基礎研究に長い時間をかけることや、グループで成果を出すことなどが特に日本的な部分ではないかと思っています。実際の教育現場では、授業開始時と終了時に、きちんとあいさつをする習慣をつけたり、グループで協力して実験を行なう中で協調性やコミュニケーション能力を養います。実験の中で試行錯誤を繰り返すことで、思い通りに事が進まなくても少しずつ前進するという経験から、忍耐力を養うこともできるのです。
このように勉強の中のさまざまな場面を通して精神的に成長することも、将来、社会に貢献できる人材を育成するために重要な要素であると思っています。

──今後、ベトナムでどのように展開していきたいと考えていますか?

 

我々の教育理念は一貫しており、これからも変わりません。ただ、時代の変化の速さに合わせて新しいコンテンツを開発していかなければならないと思っています。子どもに興味を持たせ、自ら学ぶ喜びを教えるためには、まずは子どもが興味を持てるようなコンテンツを用意することが重要だと思います。1年後を目標に、現在準備を進めているのは「マイクロビット」というコンピューター基盤を使ったコンテンツです。マイクロビットを使うことで、さまざまなプログラミングを学ぶことができます。子どもたちの自由な発想で、新しいものを生み出す喜びを体験してもらいたいです。また、「れんせい」では、子どもたちを教える先生の質にも注目しています。やはり、子どもにとって先生というのは大きな影響力がありますから、先生自身がコンテンツに興味を持って、子どもたちにそれをどう伝えるか、考えてほしいのです。私どものエデュケーション・センターでは、各講師にある程度の決定権をゆだねています。そのことから、講師は自分なりのやり方を日々考え、子どもたちに興味を持ってもらえる指導法を生み出していくことができます。時代の変化のスピードが加速する現代、教育もその変化に追いついていかなくてはならないと思います。時代がどんなに変わっても、それに対応していける力を身につける。それが、自ら考え、創造する力だと思います。
「れんせいエディケーション・センター」は、これからも教育を通してベトナム社会の発展に貢献していきたいです。

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