ミャンマーがメートル法を採用へ

もう変換の計算で悩むことがなくなる?

ミャンマー政府は国際取引の円滑化を図るために、「国際単位系」であるメートル法を採用する方針であることを明らかにした。情報が瞬時に行き交うグローバル時代のなかで、自国の基準を国際社会の基準に合わせていかなければならない必要性が生じてきたためであろう。「国際単位系」であるメートル法について考察してみた。

 

国際基準に統一すれば、コスト削減も

ミャンマーでやっかいなのは、住居や土地などを借りたり、視察するときに、面積などを「スクェアフィート」(Sq)で表示されることで、我々日本人にはすぐにそのスケールや広さをイメージしにくい。坪や平米を日常的に使用している日本人にとって、「Sq」で表示されると、そのつど変換して計算しなければならない事が多い。しかし、これは慣れないうちは面倒この上ない。そうした中で、邦人にとって朗報となるニュースが流れてきた。

ミャンマーの現地紙「ELEVEN」による と、ミャンマーでもいよいよメートル 法を採用することに舵を切ったという。 この発表を行なったのは、副農務相の Pwint San博士である。ちなみに、この Pwint博士は、今から4年前の2013 年 10 月、テン・セイン政権時代に、商務 省の幹部として、メートル法採用の準備 をしている、と早くからアナウンスして いた人物である。

ミャンマーでは現在、FPS(foot-poundsecond)の他に、CGS(centimetre-gramsecond)といった単位系も使われているが、メートル法の標準化国・地域への輸出には、単位の変換などを余儀なくされ、余計なコストが発生していた。

そこで、国際基準に統一すれば、米・豆・トウモロコシなど、ミャンマーの主要農産品の計量プロセスの効率化・迅速化が期待でき、コスト削減にもつながっていく。これは誰が考えても明白だ。

「法律で整備される重量および他の単位、品質指数の基準は国際取引の円滑化を考慮して決められるべきだ。現在ミャンマーは欧米諸国とも取引を行なっており、自国の基準を相手国に合わせる必要がある」(ELEVENより)と、Pwint博士は、メートル法への移行の理由をこう語っている。

 

メートル法は中世にフランスで提唱され、世界中に広まる

「国際単位系」(International System of Units:SI)とは、メートル(m)、キロ グラム (kg)、秒(s)、アンペア (a)、ケルビン(k)、モル (mol)、カンデラ(cd) など、長さ、質量、時間、電流、熱力学 温度、物質量、光度といった7つの基本 単位のことをさす。俗にメートル法など とも呼ばれ、現在では世界の標準測量単 位として定着している。

歴史的に見ると、このメートル法は、フランスがイギリスの産業革命に対抗するために、フランス革命後の1790年3月に、国民議会議員であったタレーラン・ペリゴールの提案によって現実化した。

世界では当時、様々な単位が使用されていたが、これを統一し、新しい単位を創設することが決議された。それを受けて翌年、北極点から赤道までの子午線弧長の「1000万分の1」という定義が算出され、長さの新たなる単位メートルが決定、誕生した。

この時の測量はダンケルクからバルセロナの距離を経線に沿って三角測量で測定し、その値を元にして計算が行なわれたという。また、質量についても、このメートルを基準として、1立方デシメートルの水の質量を1キログラムと定めた。他に、面積の単位としてアール(are=100平方メートル)、体積の単位として固体用のステール(stere=1立方メートル)と液体用のリットル(litre=1立方デシメートル)を定められた。

しかし、作業を開始したフランスでも、すでに使用されてきた単位系があったので反対者も多く、すぐには定着しなかった。結局、50年後の1840年に「以後はメートル法以外の単位の使用を禁止」する旨の法律が施行され、公文書にメートル法以外の単位を使用した場合は罰金が科せられると明記され、急速に普及していった。

その後、1867年のパリ万博の時に、各国の学者が集い、メートル法による単位の国際統一をする決議を行なった。そして、8年後の1875年にメートル法導入にあたって各国が協力して努力するという主旨のメートル条約がようやく締結された。

こうした動きに対して、ヤード・ポンド法を標準化していたイギリスはこのメートル法の採用に難色を示し、採用しなかった。兵器や産業機械の分野で世界をリードしていたイギリスは、もしフランスのメートル法を採用すれば、兵器の規格までがフランス主導で決定されることになり、技術的優位性や市場を失う危険性を考えたからだという。

ところが、時代の趨勢には勝てず、そのイギリスでも1995年にメートル単位系に移行し、ヤード・ポンド法は一部を除いて、2000年から使用禁止となった。しかし、現在でも頑なに反メートル法運動を掲げる人々たちがイギリスには存在するのは事実だ。

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