ミャンマーで存在感を増やす日本

世界から注目が集まる「ティラワ経済特別区」

ASEAN諸国の中でも熱い視線を浴びているのがミャンマーである。中でも民政移管後に急速に開発が進む「ティラワSEZ(経済特別区)」への注目度と期待感は大きい。そこでミャンマーの威信をかけたこの経済特別区の現況を報告する──。

 

SEZ指定3か所の中で一歩リード

2014年1月に「ミャンマー経済特区法」が改正され、国内3か所の工業団地計画がSEZ(Special Economic Zone)に指定された。その3つとは民政移管前の2008年から浮上し、2015年に日本が支援の意向を表明した南部「ダウェイSEZ」と、中国国有企業を核とするコンソーシアム(企業連合)に委ねることを決めた西部ラカイン州の「チャオピューSEZ」、そして日本主導の「ティラワSEZ」だ。

その中で最も早くから始動していたのが「ダウェイ」だった。民政移管後の2012年にスタートした「ティラワ」の4年も前から動き出していた。規模的にも「ティラワ」の2400ヘクタールに対し、当初の計画では2万ヘクタールと、約8倍の面積を誇った。しかも、水深20メートルの深海港(ティラワは約9メートル)であるため、大型コンテナ船の出入港が可能で、バンコクから約300キロいう地理的メリットも売りになった。

また、このSEZの開発には、バンコクとダウェイを結ぶ道路計画も含まれており、仮にこのルートがつながれば、ホーチミン、プノンペン、バンコクを結ぶ「南部経済回廊」が完成することになる。こうした物流にとってのメリットは、日系企業の注目すべき点で、当時は各国からの熱い視線も「ティラワ」を凌ぐ勢いだった。

しかし、実際の動きは鈍かった。これには両国の国内事情もあったが、最大の理由は資金面だった。ミャンマー政府とタイ最大手ゼネコン「イタリアン・タイ・ディベロップメント」(ITD)との開発契約も結局、同社の資金調達の失敗で2013年に白紙になった。「南部経済回廊」構想の道路建設も中断された。だが、2年後の2015年に日本政府が開発に向けて協力する旨の覚書を緬泰両政府と交わし、再び息を吹き返す様相になってきた。

一方、インド洋に面し、沖合は天然ガス資源が豊富といわれる「チャオピューSEZ」に関して、ミャンマー政府は2014年夏に外資誘致を加速させるため、官民パートナーシップ(PPP)方式で工業団地や深水港湾を整備する方針を固め、国際入札を行なった。そして、約10グループが名乗りを上げた。その結果、中国の国有複合企業、インフラ大手の中国港湾工程、タイ最大財閥グループなど6社でつくる企業連合が、開発権を取得した。開発面積は「ティラワ」の約3分の2の1700ヘクタールだが、総事業費は数千億円規模と見られ、約10 万人の新規雇用創出が見込まれている。

この「チャオピュー」は、中国にとってはどうしても実現させたいSEZだった。それは2010年夏、中国石油天然気集団(CNPC)が着工したチャオピューと中国・重慶を結ぶパイプラインが2015年1月に完成し、エネルギー安全保障上の要衝となったからだ。

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