財団法人を設立する

財団法人を設立する

その実態と仕組みから資金調達の方法まで

東日本大震災・西日本豪雨災害後は、日本の富裕層や資金力のあるタレントの社会貢献意識を刺激しているようだ。それだけではなく、2020年東京オリンピック・パラリンピックの影響で財団法人への就活に興味や関心を持つ大学生も増えており、特に女子に人気である。
また、何かと話題となっているZONOTOWNの前澤友作社長。その前澤氏が会長をしている「現代芸術振興財団」でバスキアの作品を約62億円で落札して、世界中の大富豪を驚かせた。
財団法人とは何か──。その概要を説明したい。 東日本大震災・西日本豪雨災害後は、日本の富裕層や資金力のあるタレントの社会貢献意識を刺激しているようだ。それだけではなく、2020年東京オリンピック・パラリンピックの影響で財団法人への就活に興味や関心を持つ大学生も増えており、特に女子に人気である。
また、何かと話題となっているZONOTOWNの前澤友作社長。その前澤氏が会長をしている「現代芸術振興財団」でバスキアの作品を約62億円で落札して、世界中の大富豪を驚かせた。
財団法人とは何か──。その概要を説明したい。

 

ビル・ゲイツらが設立した世界最大級の財団

世界最大規模の慈善団体で有名なのは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、フォード財団、アンドリユー財団、ロックフェラー財団、W・Kケロッグ財団、ゲティ財団などがある。

米国では「ノブレス・オブリージュ」(高い社会的地位には社会的な責任が伴う)という言葉が広く浸透している。

米国のマイクロソフトの創業者ビル・ゲイツは教育問題や医療の改善をメリンダ夫人とともに慈善活動を行なっている。このスーパー財団は投資家のウォーレン・バフェット氏が3兆円を超える資産を寄付し、それに続き、マイクロソフト共同創業者のポール・アレン氏、米イーベイ創業者のピエール・オミダイア氏、オラクルのラリー・エリソン氏やクアルコムのアーウィン・ジェイコブズ氏、ベンチャーキャピタリストのジョン・ドーア氏、ハリウッドの映画監督のジョージ・ルーカス氏、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏までもが、ビル&メリンダ・ゲイツ財団への慈善事業のために、寄付宣言をするなど、ケタ違いの財団である。

それを超えるのが財団法人ステイヒティング・インカ・ファウンデーションである。あの建築とインテリアデザイン分野の最高峰のイケアグループの創設者であり、会長のイングヴァル・カンプラード氏である。芸術や教育分野で多額の寄付をし続けた石油王ロックフェラー、鉄鋼王カーネギーは後世に残る歴史ある財団で今なお名を馳せている。また、フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグ氏と妻プリシラ・チャン氏の2人は世界寄付金ランキングで世界第1位を獲得したことがある。寄付金額は日本円で1000億円という個人では最高額である。

1913年、ロックフエラー財団を設立したジョン・D・ロックフエラー氏は、財団の目的を「人類の福祉の増進と教育」をあげている。

 

財団の中の財団である笹川平和財団

海外と違って、日本の財団は政府の補助的な役割を目的として財団が設立されており、アメリカのような事業規模と異なる。

資産規模100億円以上の財団は10 7件、資産10億円未満の財団が約900件ほどである。

日本といえば、公益財団法人日本財団(The Nippon Foundation)がある。初代会長は笹川良一。公益競技のひとつであるボートレース(競艇)の収益金をもとに海洋船舶関連事業の支援や福祉事業・国際協力事業を主に行なっている公益財団法人である。総資産額は3000億円近くにのぼり、日本最大規模の財団であるが、事業費の多くは笹川平和財団や東京財団などの系列の公益法人などに充てている。そのため、笹川平和財団のほうが日本最大の公益財団法人を標榜している。まさしく財団の中の財団である。

公益財団法人を象徴する日本財団

日本財団は、熊本の地震で大被害を受けた熊本城の修復金として30億円を提供すると発表。この30億円という金額については「再建費用が拡大するかもしれないが、ある程度の金額を明示して、多くの方に関心を持っていただきたい。そうすれば、募金活動に広がりができると思う」と笹川陽平会長は述べている。

財団はこのほか、非常用トイレの配備、ボランティアの活動支援、緊急対策費として総額93億円を拠出した。

 

超富裕層と財団の関係

超富裕層などは、信託(トラスト)や財団をつくり、そこに資産を移転する。資産の所有は信託になり、信託の資産から生まれる収益を得る受益者になる。

これは、万が一に備えた富裕層の合法的な仕組みと相続対策となるからだ。超富裕層にとっては当然の活用法となっている。

さて、財団だが、ある特定の個人や企業などの法人から拠出された財産で設立され、運用益である金利などを主に事業原資とし、運営される法人を財団法人という。

これが公益目的でなくても一般財団法人としても設立できる。種類としては特例財団法人、公益財団法人、一般財団法人などがある。

超富裕層にとって、財団という箱は個人資産を寄贈したことで会社の大株主になることもでき、美術館、芸術館、地域文化芸術の発展や貢献ができる。まさしく超富裕層にマッチした箱であり、スーパーリッチの心を捉えたパートナーでもある。

 

財団は収益事業は課税され非営利事業は非課税

財団設立は税金対策でもあり、一定の条件を満たすことが前提ではあるが、相続や遺贈を所得した財産を、国や地方公共団体、公益法人などに寄付した場合は、その財産は相続税の対象外となる。そうなると、超富裕層の悩みの種である相続税負担、基礎控除額が減り、最高税率が上がるため、相続税問題は解消できる。

 

財団の特性と種類

社団法人と財団法人とは、どういうところなのかよく聞かれる。公的な法人(公法人=公的業務・行政を任せるための設立法人)には地方公共団体【地域の仕事】、独立行政法人【独自のお金で国の仕事を行なう】、特殊法人【国の資金で国の仕事を行なう】などがある。人が集まって法人にした社会法人、財産をもとに法人化した財団法人などである。

公益目的が可能なのは社団・財団・宗教になる。お金儲けを目的とするならば、営利法人(社団・会社法人)、お金儲け以外を目的にするならば非営利法人などになる。

それ以外に中間法人というものがあり、労働組合、同窓会的なものが当てはまる。

 

公益財団法人とは

一般財団法人のうち、公益法人認定法に基づいて、行政庁から公益性を認定された財団法人を言う。公益を目的する事業は非課税となり、税制上の優遇措置が受けられる。それが公益財団法人という。

 

財団法人と社団法人の違い

一般社団法人は、ある目的のために理事の活動自体に重点を置いているため、設立時に資金や財産がなくても設立が可能だ。一般財団法人は、拠出された財産をある目的のために利用するためで、最低300万円の拠出が必要になる。社団法人が設立にはほとんど費用がかからないのに対し、財団法人は300万円の基本財産(お金や不動産)が必要となる。財団法人は理事が財産を運用し、その運用に生じる利益で事業を行ない、設立には理事3名と評議員3名、監事1名の計7名が必要。さらに業務執行を監督する機関として理事会、評議会、評議員会なども必要となる。一般社団法人より一般財団法人のほうが設立はハードになる。

 

財団の設立方法

一般財団法人を設立するには拠出金として300万円以上が必要となる。発起人1名、役員として理事3人以上、監事が1人以上を決める。評議員は3名以上で評議員会を設置しなければならない。これは法人の目的と逸脱していないかなど監督する役割をする。書類などの費用について、公証役場にて定款の認証として5万円、法務局にて登記免許税として6万円、最低必要な費用として11万円かかる。

必要事項は①定款②名称③主たる事務所所在地④設立者の名前と住所⑤設立に際して設立者が拠出する財産及びその価格⑥設立時評議員・設立理事・設立時監事の選任に関する事項⑦評議員の選任及び解任の方法⑧公告方法⑨事業年度となる。

設立可能な条件があり、ボランティア活動、環境保護や食育推進などの公益的なビジネス、商店街や地域振興、同窓会、同業者などの共益目的、学術などである。

 

特定非営利活動法人NPO

世界ではNPO法人(Nonprofit Organization=非営利団体)が多種多様に活躍している。
NPO法人の収入源は、社会的活動に賛同してくれる会員から会費、講習会や指導料、出版の販売、行政からの仕事受注などがある。他に助成金、補助金が受けられことができる。それらが収入源となる。

NPO法人を設立するには10人以上の社員が必要で理事3人、監事1人以上が必要となる。まず、最初に行なうのが設立発起人会、設立趣意書、定款、事業計画書、収支予算書を作成、設立総会後、申請。NPO法人のメリットは設立時に資本金が0円で設立することができる。認証申請が必要だが、申請手数料は無料となっている。資金面から考えると、NPO法人は誰にでも設立ができ、ハードルも低いといえる。また、認定NPO法人となった場合、みなし寄付の範囲は50%以上となる。NPO法人は設立しやすいと言われているが、国で認められた社会貢献活動を行なう社団法人で、さらに認定NPO法人(国税庁が認可された法人)ともなれば、税優遇となる。単純に株式会社や有限会社などの法人と違うところは、組織の名義で銀行口座開設、事務所・土地建物の賃貸、各種契約に関することが有利な点。特に公益になれれば、税金が優遇されるし、NPO法人となれば公共事業にも参加することが可能だ。

 

財団の資金調達

近年、起業を応援する新しい会社サービスが増加しているが、資金調達の方法もいろいろと種類がある。

起業のための資金といえば、自己資金、友人や家族からの借金、日本政策金融公庫の創業融資、信用保証協会の制度融資、プロパー融資が基本である。事業モデルによってはベンチャーキャピタル(エンジェル投資家)やスタートアップ、クラウド・ファンディング、補助金や助成金などがある。ここで、クラウド・ファンディングは2つの形成に分かれている「達成時実行型(目標の金額が達成したら資金を受け取る)」「実行確約型」(目標が達成しなくても調達した資金を受け取る)になる。いずれも投資型である。

エンジェルや個人投資家、ベンチャーキャピタルは十分に注意しなければならない。あとは小規模であるが、私募債(個人や会社などに発行される社債)もある。

財団とは社会貢献など非営利事業を行なう法人であり、その裏は名声を得たいスーパーリッチのブラックボックスであり、「秘めた機能を持つ大きな財布」なのである。

 


浅田光太郎(あさだ・こうたろう)
アジア経済ジャーナリスト&コンサルタント

都内の有名私立大学を卒業後、一部上場企業に技術者として就職。その後、経済・ビジネス書の発行を中心とする出版社に勤務。主に証券やM&A関係をテーマとした書籍を担当する一方、ファンドも立ち上げる。現在はアジア経済に関するジャーナリストやコンサルタントとして活躍中。

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