3つの世界から視るベトナムでのマーケティング事例 Vol.2

第2回 配車アプリの成功事例

第2回目になりました。今回は、ベトナムで急成長しているビジネスの一つである「配車アプリ」を取り上げます。前回同様にキュビズムの思想を注入し、ベトナムでのマーケティング事例を多元的な世界観で論じてみたい。

 

生活者の視点に立つことが重要

その世界観は、下記の3つである。

1 ハード視点
2 ソフト視点
3 一般理論・法則

一般的なビジネスパーソンは、ビジネス書などで「一般理論・法則」を学び、「ハード視点」により実践する。ただし、ビジネスでの成否は、「ソフト視点」(いわゆる心理的世界)を理解し、もう一つブレイクダウンした視点ができるかにどうかにかかっていると言っても過言ではない。その「ソフト視点」を可視化しているのが、私の仕事である。今回は、ベトナム市場での「配車アプリ」について説明してみたい。

「配車アプリ」(ハード視点)は、目的地までのルート、料金、運転手や一般利用者の評価を可視化することで、運転手と一般利用者間の「情報非対称性」を軽減することができるスマホアプリケーションのマルチ・サイド・ネットワーク*(一般理論・法則)のビジネスモデルである。これを使うことで、運転手や一般利用者両方に対して、安全・安心(ソフト視点)を提供することができている。加えて、サービス重視のニーズがあれば、プレミアムなグレードの車種を選択することもできるし、価格重視のニーズがあれば、バイクを選択することもできる。つまり、生活者のニーズ(ソフト視点)に合わせたカスタマイズ対応も優れているアプリケーションである。

また、異業種間のマルチ・サイド・ネットワークも盛んである。

たとえば、ベトナムで絶大な人気を誇るレストラン検索・レビューメディア「Foody.vn(フーディー)」のアプリを使うと、フーディー利用者は、同アプリを通じてタクシーを配車し、検索した目的地へのレストランへ移動することができる。その他、欧米大手ホテルチェーンのアプリなども同様のサービスをベトナムで展開している。

ベトナムの現行タクシー事情として、「マナーの問題(ボッタくり・遠回り・車内の不潔さなど)」での被害が多く、安全・安心が一般利用者に提供できていない現状がある。そのようなベトナム市場において、「ハード視点・ソフト視点・一般理論・法則視点」の3つの世界をコンフリクトせずにつないだことで成功したと説明できる。逆に言えば、これら「ソフト視点」を失ってしまうと、競合企業にとって、すぐ変わってしまうということでもある。

 


根岸正実(ねぎし・まさみ) INTAGE Vietnam LLC Managing Director
経験:日系調査会社にて20年近く海外リサーチャーを経験。主に、自動車・電機メーカーのグローバル調査を支援。リーマンショック後は、アジア新興国での生活者調査・インド支社設立に従事し、15年より現職。国内外100都市以上に訪問経験がある。

自己紹介:「アートのサイエンス化」の追求がミッション。
様々な出来事を理論化・図表化するリサーチャー兼アナリスト兼コンサルタント。

好きな分野:スポーツ・アート・教育・生物そしてビジネス
主に利用する学問:法学・経済学・心理学・人類学そして経営学

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