9つのキーワードで良く分かるアジア Vol.8

第8回 フィリピン

「アジア」──と、我々は一言で簡単に言ってしまいます。
が、このエリアは、そんな「アジア」という名称だけで一括りする事はできません。歴史も背景も大きく異なっており、
これほど文化が多種多様な地域もないでしょう。まだまだ基本的な情報すら知らない日本人が多いのも事実です。
このコラムでは、毎回9つのキーワードで、アジア各国の基本情報を提供しております。
第1回目はカンボジア、第2回目はラオス、第3回目はミャンマー、第4回目はベトナム、第5回目はシンガポール、
第6回目はブルネイ、第7回目はインドネシアを取り上げました。第8回目の今回は、経済成長が続いているフィリピンです。

「人口」はアセアン第2位であり、若者の数が特徴です

フィリピンの人口は約1億98万人であり、アセアン諸国でインドネシアに次ぐ第2位です。人口ピラミッドは典型的なピラミッド型であると言えます。

 

「面積」は日本の8割ほどであり、多くの島からなります

面積は29万9404平方キロメートル(日本の約8割)で、7000を超える島々を有する島国です。

「年齢」は平均23歳であり、人口ボーナスが見込めます

周辺国と比べて圧倒的に低い23歳という平均年齢は、特筆すべきものです。当面は、労働力が経済成長を押し上げる「人口ボーナス」が続くとされています。人口増加も著しく、国連の人口中位推計によると、フィリピンの人口は2028年に1億2300万人に達して日本を追い抜き、2091年まで増え続ける見通しです。

「気候」は熱帯性気候です

熱帯性気候のため、年間を通じて暖かく、年平均気温は26~27度。6~11月が雨期、12~5月が乾期と分かれていますが、地域によって、かなり差があります。

「政治」は大統領の強い力の下で行なわれています

元首は大統領で、その権限は非常に強いものです。政治を行なう権利だけでなく、軍の指導権や裁判官の任免権、公務員の任命権に至るまで、非常に広範囲です。また最近ではドゥテルテ大統領がミンダナオ地域に「戒厳令」を出したことが有名ですが、これにより、治安当局が、令状なしの身柄拘束を行なうことが認められています。かつて1972年にも、フェルディナンド・マルコス大統領がフィリピン全土に戒厳令を布告。これによって憲法は停止され、独裁政権の道を開くことになりました。

「経済」は、着実に回復を遂げてきました

フィリピンは、マルコス政権による混迷もあり、「アジアの病人」とまで言われ、1990年代までは、アセアン主要国の中で最下位の経済成長率でした。しかしながら、そこから着実に成長を遂げ、2012年以降はアセアンでトップクラスの成長率を誇るまでになりました。1人当たりのGDP(国内総生産)も消費市場が一気に伸びるとされる3000米ドルを目前としています。

「歴史」はスペインやアメリカに長い間統治されてきました

16世紀より300年ほどスペイン統治時代が続き、独立の機運が高まったかと思いきや、1898年に米西戦争が勃発、アメリカ統治時代が始まります。第二次世界大戦を経て念願の独立を果たしますが、マルコス独裁政権時の政治不安により、日本を含めた海外諸国の企業進出が進まず、他のアセアン諸国に比べて発展が遅れていました。

「文化」はキリスト教徒が多く、西洋の影響が大きいです

全人口の9割以上がキリスト教徒であり、アジアで唯一のキリスト教国家です。スペイン統治の影響で広まったものであるため、カトリック教徒が多いのも特徴の一つと言えます。一方、ビサヤ地方でも南部のミンダナオなどでは、もともとイスラム色の強い生活 をしていました。今でも根強くイスラム教を信仰している人々も多く、中に はスペイン支配前のイスラム国家に戻したいという集団もいて、たびたび武力抗争も行なわれています。

「文化」はキリスト教徒が多く、西洋の影響が大きいです

日本はフィリピンにとって最大の貿易相手であり(輸出国1位、輸入国2位)、経済面からみても良好な関係を保っています。また民間という観点から見ても、フィリピンで暮らす日本人が1万8000人なのに対し、日本で暮らすフィリピン人は21万人に及びます。今後も良好な関係が維持されると考えられます。

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斎藤 公 (さいとう・ひろし)

ソルテックトレーディング株式会社 メディア事業部長

PHP研究所に入社し、英文月刊誌「PHP Intersect」を創刊。同社ニューヨーク事務所長を務めた後、CBC中部日本放送の関連会社に転職し、名古屋港再開発プロジェクトの企画立案を担当する。放送関連の経験を買われ、20年ほど前にシンガポールで日本語ラジオ放送「FM96. 3」の開局に従事。その後、ベトナムに拠点を移し、「ハローベトナム」「インベストアジア」を創刊し、日系企業の海外進出支援事業に携わっている。

 

 

 

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