アジアの本はこう読め!

第4回 今こそ北朝鮮について学ぼう

今そこにある日本と朝鮮半島の危機に、われわれ庶民にもできることはある。

もう政治家なんかには任せておけない

北朝鮮が何やらキナ臭い。田舎町の地主のドラ息子みたいな金正恩と成り上がりの下町不動産屋トランプが、ヤンキー中坊言葉で罵り合いしているのを聞いている分にはオモロイが、2人とも核兵器使える立場にいるっていうのが問題だ。

しかもホントに使いかねないから、北朝鮮と米国の間に位置する日本としては迷惑な話である。

で、最近とみにトランプの髪形に似てきたと思える安倍の晋三ちゃんに何ができるかといえば、ただ国難だ危機だと戦前の近衛文麿首相みたいな時代錯誤ワードを興奮しながらキャンキャン吠えるだけのチワワ犬状態で、もうため息も出やしない。外交やれよ、政治家なら。

まあチワワ晋三だけではなく、日本の政治家なんてほとんどが政治資金集めと男女交際にしか能力がないお方ばかりだから期待もしないが、じゃあ我々庶民の日本人はどうすりゃいいんだということで、あらためて北朝鮮のことを学んでみようではないか。

 

日本と朝鮮半島の「歴史問題」とは何か

格好の本が出版された。『「招待所」という名の収容所 ─北朝鮮による拉致の真実』(ロバート・S・ボイントン著/柏書房)。今年(2017年)9月に出た本で、日本人拉致について無知な米国人読者のために書かれた一冊だ。著者は米国人ジャーナリスト。だからなのか日本人には既知の拉致問題を日本と朝鮮半島との歴史問題から解き起こして解説しているところが新鮮だ。というよりも、日本人が嫌う「歴史問題」部分をこそ我々は読むべきなのかもしれない。

著者ロバート・S・ボイントンは拉致問題を明治日本の近代化から解いてゆく。欧米列強による白人至上主義に根付いた植民地獲得競争に入り込みたい。しかし日本人は白人ではない。ならば大義をどこに求めるのか。考えたのが同族人種主義。朝鮮人と日本人は人種的に同族なのだから、一つになっても問題はない。いや、兄弟一族一つになって欧米列強に対抗しようじゃないかという論理。もちろんいち早く近代化した日本が兄である。そして近代化を拒否する弟朝鮮に教え諭すのだと一つ屋根の下に集っての朝鮮併合だ。それは後の大亜細亜主義、八紘一宇の論理へとつながってゆく。

しかし併合された韓国・朝鮮人にとっては、日本人はそもそも偉大なる中華文化圏にそっぽを向いた朝鮮半島から追放された蛮族である。一族などであるものか。ましてどの面下げての兄なのか。てな具合。

そんな歴史問題の根本に光をあてながら、著者は帰国した拉致被害者へのインタビューや「救う会」関係者への取材をもとに、あらためて日本人拉致問題について明らかにしてゆく。北朝鮮という国家の成り立ちについても分かりやすく解説され、現在の北朝鮮情勢を知るための基礎知識を得るにはもってこいだろう。

北朝鮮をしっかりと知ることが今こそ必要だ

拉致問題を扱った本はこれまでにも数多く出版されている。『北朝鮮―その衝撃の実像』(朝鮮日報・月刊朝鮮編/講談社+α文庫=絶版)、『宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作』(高沢晧司/新潮文庫=絶版)、『北朝鮮―裏切られた楽土』(張明秀著/講談社+α文庫=絶版)、『北朝鮮に消えた友と私の物語』(萩原遼著/文春文庫)、『謝罪します』(八尾恵著/文藝春秋刊=絶版)、『北朝鮮に拉致された男』(李在根著/河出書房新社=絶版)、『闇からの谺』(申相玉・崔銀姫著/文春文庫=絶版)などなども手に入るならぜひとも読んでいただきたい。

北朝鮮がキナ臭い。だからこそ我々がしなければならないのは北朝鮮をしっかりと知ることだ。テキストは多いぞ。遅くはない。

 

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黒田信一(くろだ・しんいち)

フリーライター

1955年北海道生まれ。札幌で映画会社に勤務していた時、同僚たちと映画館建設を決定。苦闘の末、1982年、札幌に48席のJABB 70 HALLをオープン。映画館経営の傍ら映画雑誌『BANZAI まがじん』を創刊し編集長に。1992年、映画館を閉館、雑誌も廃刊。ライターに転向してアジアを中心にうろつく。2004年、ラオスでカフェを開業。2007 年に閉店し帰国、ライター業に復帰する。スポーツから雑記まで幅広く執筆。本の雑誌別冊『文庫王国』のノンフィクション部門や北海道新聞の新刊書評なども担当。主な著作には、『カフェビエンチャン大作戦』(本の雑誌社)『アジア大バカ珍道中』(情報センター出版局)『ア ジアバカうまレシピ』(情報センター出版 局)『インド人、大東京をゆく!―なんと、アジアで最も熱い都市が日本のなかにあった』(青春出版社)『ルチャリブレがゆく』(講 談社文庫)『突撃!グフフ映画団』(講談社文庫)などがある。

 

 

 

 

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