カフェから見るアジア Vol.2

第2回 タイのバンコクでも喫茶店がなくなった?

 

昔は得体の知れないお爺さんたちの溜まり場だった喫茶店も今や絶滅状態。今どきのカフェはコーヒーの味は進化したが、全く風情がないのが寂しい。

タイのコーヒーはメチャクチャまずかった

初めてタイのバンコクで飲んだコーヒーはインスンタトでした。しかも、日本の平均値の3倍ほど粉が入っていて、チョーまずかったです。でも、タイの人々は気にならないのかもしれません。苦さに負けないほどに、コンデンスミルクを大量に入れてメチャクチャ甘くしてましたから。20数年前、タイのバンコクで普通に飲めるコーヒーって、それしかありませんでした。

 

まぁ、それも今は昔ですね。というか、かつてのバンコクに、喫茶店など、ほとんどありませんでした。当時はバックパッカーの溜まり場だったカオサン・ロードぐらいでしたかねぇ。探さなくても、喫茶店というか、朝からやってる酒場というか、そんな店が並んでいた場所は……。まあ、そこでも飲めるのはインスタントだけでした。

 

「普通」のコーヒーが飲みたかった

ああ、そうそう。ビジネス街&歓楽街の中心地シーロム通り(日系企業のオフィス、日本料理レストラン、カラオケクラブが密集しており、ゴーゴーバーで世界的にも有名なパッポンもあるところ)には喫茶店がありました。そこだけはホンモノのコーヒー。注文を取る前にウエイトレスのお婆さんが、冷えた水を持ってきて、お爺さんがサイフォンでコーヒーを入れてましたっけ。

 

とにかく、コーヒーのほうは、普通の美味しいコーヒーでした。1か月以上、ちゃんとしたコーヒーを飲んでいなかったので、嬉しかったですねえ。

 

いまの御時世だと分かんないでしょうが、当時は日本を一歩出ると、ネットもなかった時代だから、日本の情報なんか、ぜんぜん入ってこないし、日本食なんてものも、ほとんどありませんでした。だから、しばらく旅をしていると、「日本」に、とっても飢えてしまうのです。

 

私の場合は、コーヒーでしたね。イン スタントじゃなくて、日本で飲むのと同 じように、普通に生豆で入れて、ブラッ クで飲んでも普通に美味しいコーヒーが 飲みたいと。

 

ミルクや砂糖は入れたくないです。男は「黙ってブラック」です。ましてや、 コンデンスミルクなど邪道です。はい。

 

和風喫茶店にビジネスマンはいなかった

昔のシーロム通りには、こんな感じの和風喫茶店が他にも数軒ありました。「日本」に飢えた旅行者が、日本の漫画を読みながら、日本と同じコーヒーを飲んで、日本とまったく同じ感じの喫茶店の雰囲気に浸るという。

 

でも、客層だけが日本とはちょっと違っておりましたね。昼間の時間帯に入っ ても、サラリーマン風はおりません。

 

リタイアしてるのか、それとも、何か他に事情があるのかは分かりませんが、客はバンコクに住んでる風のお爺さんばっかり。客の平均年齢が日本の喫茶店よりも、かなり高い。

 

大阪とか名古屋とか、喫茶店文化のある街には、今もスタバに負けず、こういった昔風の喫茶店があり、朝から地元の爺さん婆さんで賑わっております。でも、それとも違うのですね。男女比が……。お婆さんがいない。お爺さんだけの世界です。

 

トルコのチャイハネ。そう、チャイハネと同じ感じですかねえ。あそこもお爺さんと中年オヤジの世界ですから。

 

「う~ん、マンダム」って、これで男の中の男チャールズ・プロンソンが思い浮かぶような年代なら、入店資格あり、って感じですかね。

 

生豆のコーヒーがどこでも飲めるようになった今どきのバンコク──。かつてあったような渋い感じの喫茶店は、日本と同じく、ほとんど見かけなくなりました。

 

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青山 誠(あおやま・まこと)

フリーライター

島根県出身。大阪芸術大学卒業。旅と歴史を主なテーマに『旅の手帖』『散歩の達人』『別冊宝島』など数多くの雑誌や書籍を活動の場としている。著作には『港町に行こう!~歴史と人情とうまい魚を求めて~』(技術評論社)『江戸300藩城下町をゆく』(双葉新書)『インターネットビジネスの手順&儲け方』(すばる舎)『ツアーコンダクター一度はやってみたい!こんな仕事』(すばる舎)『バンコク恋愛事情愛タイ!』(双葉社)『戦術の日本史』(宝島sugoi文庫)『坂野惇子―子ども服にこめた「愛」と「希望」』(中経文庫)などがある。

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