カフェから見るアジア Vol.5

第5回  経済成長と喫茶店の需要は反比例する

ミャンマーの喫茶店で、ぽや〜んと過ごしている人は、
ただ仕事をサボッて遊んでいるのか、それとも失業者なのかーー。

 

喫茶店などなくても、人は生きていける

十数年前にもミャンマー最大の都市ヤンゴンへ行きましたが、当時とはかなり状況も変化しています。十数年前のヤンゴンには、ぽや〜んと喫茶店で過ごす人々であふれていました。失業者なのか、それとも、仕事をサボって遊んでいるか、判別がつきません。けど、ヒマなのは間違いないでしょう。

食堂で飯を食うのは、人が生きるためには必要不可欠。しかし、喫茶店で茶を飲まなくたって、生き死には全く関係ありません。他にやることがあって忙しい人には、必要のない場所なのですね。

ヒマを持て余して困った。そういった人々でなければ、喫茶店を必要としていません。十数年前のヤンゴンは「ヒマ人がいっぱい」。と、そんな感じでした。それだけに、街中いたるところにある喫茶店は、どこもそれなりに繁盛していました。誰もがすぐに喫茶店をオープンできた

とはいえ、紅茶1杯が30円程度。何百杯売れば、1人分のランニング・コストが稼げるのでしょうか?

いや、コストのほうもタダに近いような……。少なくとも家賃を払う必要はないでしょう。だって、空地や公園、歩道、線路の上にまで……どこも家賃は必要なさそうです。街中の空きスペースがあれば、すぐに喫茶店になってしまう。そんな感じでした。

なにしろ、日本の銭湯にあるようなプラスチックの小さな椅子と、傾いてガタガタのテーブルを置いて、プロパンガスを持っていて、お湯沸かして、お茶を入れる準備が整えば、すぐに喫茶店を営業できますから。

喫茶店にいるのはヒマ人ばかり

旧宗主国イギリスの影響でしょうか。お客が注文するのは、いつでもミルクティー。注文などしてなくても、路上に置かれた小さな椅子に黙って座るだけで、甘ったるいミルクティーが出てきます。雑貨店の店先の路上で営業している喫茶店もあり、そこなら冷たいコーラや菓子パンとかも持ち込み自由です。

喫茶店の近くには必ず、噛みタバコの一種であるキンマ(檳榔子の葉)を売る店もありました。これは一種の噛みタバコ。男たちはキンマの樹液で赤く染まった唾を路上に吐き散らしながら、笑い転げています。小さく背もたれもない椅子なので、ホントに転げる人も時々いましたね。

しかし、これもすべては十数年前の話です。

ミャンマーは経済成長が続いているだけに、職にあぶれる人も少なくなりました。働いていれば、喫茶店でタベッてるヒマなどありません。そう、喫茶店はヒマを持て余している人が集う場所。昨今の日本の状況と同様に、経済発展著しいミャンマーでも消えゆく商売なのかもしれません。

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青山 誠(あおやま・まこと)

フリーライター

島根県出身。大阪芸術大学卒業。旅と歴史を主なテーマに『旅の手帖』『散歩の達人』『別冊宝島』など数多くの雑誌や書籍を活動の場としている。著作には『港町に行こう!~歴史と人情とうまい魚を求めて~』(技術評論社)『江戸300藩城下町をゆく』(双葉新書)『インターネットビジネスの手順&儲け方』(すばる舎)『ツアーコンダクター一度はやってみたい!こんな仕事』(すばる舎)『バンコク恋愛事情愛タイ!』(双葉社)『戦術の日本史』(宝島sugoi文庫)『坂野惇子―子ども服にこめた「愛」と「希望」』(中経文庫)などがある。

 

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