カフェから見るアジア Vol.6

第6回  どんなに近代化されてもタイの本質は変わらない

コーヒーを飲んでくつろぐ行為にも国民性が表れる

 

一休みしたいタイミングで現れるカフェ

バンコクからクルマで約2時間といったところでしょうか……。塩田の広がる車窓の風景を眺めつつ、海の香りがそこはかとなく漂ってくると、まもなく、アンパワー川の水上マーケットに到着です。

近くには大きな水産工場があり、日本や韓国へもエビやイカを輸出しているといいますから、仕事でこの近辺を訪れるビジネスマンの方もおられるかもしれません。

さて、クルマを降りて河口の街を歩いてみることにしましょう。軒を連ねて建つ古い木造家屋、桟道を伝いながら歩くと、海鮮や土産品を売る川船から、売り子の陽気な声が響きます。

昔はバンコクでも川沿いへ行けば、ごく普通にあった生活風景らしいのですが……今時は「普通」ではありませんね。ここのように観光地として残った場所に訪れる客も、我々のような外国人よりもむしろ、地元のタイ人のほうが多いような……。日本人が日光江戸村へ行くような感覚でしょう。たぶん。

海鮮料理のレストランや土産品が建ち並ぶ川沿いの桟道を歩き、暑さと人の多さにちょっと疲れてきたなぁ。ってなあたりまで来ると、桟道沿いにも喫茶店が増えてきます。ちょっとコーヒーでも飲んでひと休みしたいタイミングの場所を見計らって、喫茶店を出店。考えてますねぇ、商売のやり方を。

 

カフェも自分の家と変わらない?

タイ人が、ぽや~ん、と何も考えてなかったのは、おそらく十数年以上も昔のことではないでしょうか。今時はこういった観光地は店の家賃も高いですから、費用対効果を考えて出店する業種を選ばねなりません。

まあ、とりあえず、1軒入ってみましょう。

私的にはオープンエアの客席で、川面をのんびり眺めながらのコーヒー・ブレイクって感じが好みです。でも、同行してくれたタイ人が、迷わず冷房のある室内に客席のある店を選んじゃいましたね。
「外は暑いでしょ。こっちのほうがサバ~イ(快適!)」
だそうです。

同じコーヒー飲んでくつろぐという行為でも、国民性というか、好みの差は出てきます。郷に入らば郷に従え。ここはタイ人の好みに従うとしましょう。

カフェの使い方で見るタイ人と外国人の違い

案の定。冷房ありのインドアの客席はタイ人がほぼ100%。日本人や欧米人の観光客は、みんな、オープン・エアの川沿いの客席に座ってます。

それは、いいのですが……客たちの態度は、ちょっと。館内は靴を脱いで床の上に座ってくつろぐスタイルなのですが、みんな、くつろぎ過ぎ。寝転がってる人が半数以上。中には本気で昼寝してる人もいる。何か、自分の家にいるのと同じ感じで、人目なんぞ気にせず、ゴロゴロしてます。

日本の飲食店の座敷席で、寝転がっている人は、まず、いないでしょう。人目が気になって、無理です。

はい、この光景を眺めて悟ったですよ、私。

昔の伝統文化や生活が廃れ、商売のスタイルも、効率優先のビジネスライクになってきた昨今のタイですけど、こうやって人目も気にせずに、 「サバ~イ」と、楽ちんな方向を志向する。この生き様を見せられて安心しました。街はどんなに近代化されようとも、タイの本質は変わらないのではないかな、と。

 


青山 誠(あおやま・まこと)

フリーライター

島根県出身。大阪芸術大学卒業。旅と歴史を主なテーマに『旅の手帖』『散歩の達人』『別冊宝島』など数多くの雑誌や書籍を活動の場としている。著作には『港町に行こう!~歴史と人情とうまい魚を求めて~』(技術評論社)『江戸300藩城下町をゆく』(双葉新書)『インターネットビジネスの手順&儲け方』(すばる舎)『ツアーコンダクター一度はやってみたい!こんな仕事』(すばる舎)『バンコク恋愛事情愛タイ!』(双葉社)『戦術の日本史』(宝島sugoi文庫)『坂野惇子―子ども服にこめた「愛」と「希望」』(中経文庫)などがある。

 

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