カフェから見るアジア Vol.8

第8回  タイに広がる日本の喫茶店文化

日本で流行ったものは必ずタイで流行る。カフェも例外ではない。

 

タイの街中は猫カフェ状態

1950年代の歌声喫茶。1960年代のジャズ喫茶。1980年代のノーパン喫茶。2000年代のメイド喫茶──。
いやはや、日本の喫茶店文化はバラエティーにとんで奥が深いです。はい。

猫好きな方々が集う猫カフェなんてのも、今やすっかり日本の津々浦々に定着しております。それどころか、海外でも猫カフェがオープンしているようで。

アニメ文化とともに、日本の喫茶店文化も世界でリスペクトされているんでしょうか?

たとえば、タイのバンコク。近年に猫カフェが続々とオープンして、最近は日本人居留者の多いトンローとかエカマイの界隈で、10軒前後を数えるようになったとか。

猫カフェってのは、猫を飼いたいけど、諸般の事情で飼うことができない、そんな猫好きの人々が、店で飼われている猫たちとスキンシップを楽しむ。そんな場所だと思うのですが……。

しかし、バンコクって、いたるところ猫だらけ。何もわざわざ猫カフェなんかに行かなくとも、飼い猫か野良猫かは分かりませんが、オープンエアのカフェとかバーに座れば、猫たちがワラワラ寄ってくる。

つまり、街中が猫カフェ状態な感じなのです。普通のカフェに比べて、メニューもややお高い猫カフェに、何でタクシー代使って行くのか? 謎です。

猫カフェの客はタイ人ばかり

この謎を解明するべく、行ってみました。場所はBTS(高架鉄道=スカイトレイン)のトンロー駅にほど近いスクンビット通りのソイ(小道)53。瀟洒な高級住宅街です。そこにある庭付き高級住宅を借りきってオープンしている猫カフェがあります。

カウンターで注文を決めると、靴を脱ぎ、手を消毒して、室内へ。大きなリビング・ルームを改装して、キャット・ウォークやら、猫の遊び場を設置した中に客席が点在してます。

足元には10匹以上の猫が寝転んだり、走り回ったり。客はみんなタイ人ばかり。猫と一緒に記念写真を撮ったり、猫じゃらしで遊んだり、と。日本の猫カフェの客とやることは変わりません。

しかし、猫たちは屋外で見かけるタイの駄猫と比べると、明らかに巨大。10キロ級のアメリカン・ショート・ヘアー。屋外では絶対に見かけない長毛種のメインクーンやペルシャもいっぱいです。

タイ人が猫カフェに行く理由

謎が解けました。バンコクの街中で見かける猫とは、まったく異質な猫ばっかり。大きさでいえば、駆逐艦と戦艦大和くらいの違いがあります。

また、見た目も「外国人」ってな感じで、何やら高貴な雰囲気も。居住空間も極楽で、過酷な日々を過ごす屋外の駄猫たちと比べると、警戒感もなく、人懐こいです。そうです。猫カフェに集うタイ人たちは、タイでは絶対に見かけない異国情緒あふれる猫を鑑賞しにきていたのですね。

今時の日本ではアメショーもメイクーンもさほど珍しくありませんが、普通のタイ人には実物に触れるのが初めてといった人も多いはず。

また、舶来信仰の強いお国柄でもありますから、同じ猫カフェで遊ぶにしても、日本人以上に感慨深い感じなのかもしれません。

 


青山 誠(あおやま・まこと)

フリーライター

島根県出身。大阪芸術大学卒業。旅と歴史を主なテーマに『旅の手帖』『散歩の達人』『別冊宝島』など数多くの雑誌や書籍を活動の場としている。著作には『港町に行こう!~歴史と人情とうまい魚を求めて~』(技術評論社)『江戸300藩城下町をゆく』(双葉新書)『インターネットビジネスの手順&儲け方』(すばる舎)『ツアーコンダクター一度はやってみたい!こんな仕事』(すばる舎)『バンコク恋愛事情愛タイ!』(双葉社)『戦術の日本史』(宝島sugoi文庫)『坂野惇子―子ども服にこめた「愛」と「希望」』(中経文庫)などがある。

 

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