香港でビジネスチャンスを探そう Vol.10

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第10回 香港で考える「男女平等」

「一億総活躍社会」のスローガンをよく耳にする昨今の日本──。「男女平等」「女性の活躍」が改めて注目されているようです。
今回はこのあたりについてお話ししましょう。

 

男女平等においても香港は先進国

と、前置きしたところですが、そもそも「男女平等」とは何でしょうか? 男女の管理職人数比が等しいこと? 男女の平均給与額が等しいこと?

色々な考え方があると思いますが、私は「やる気や能力のある人物へ男女問わず平等に門戸が開かれていること」が大きな要素ではないかと思っています。そういう意味では、香港は相当高いレベルで男女平等が実現されている地域と言えるでしょう。

理由として、元来から共働きが当たり前な社会土壌があるのですが、他にもいくつか考えられます。

(1)家事負担を軽減できるような外食・クリーニング等の産業が発達していること
(2)外国人家政婦の受け入れ制度が整っており、育児や介護のサポートが可能なこと
(3)ジェンダー(社会的性差)ギャップが少なく、セクハラ等の発生率も低いこと
(4)上昇志向が高く、キャリアアップに積極的な国民性

(3)については日本人男性からすると、香港女性が、上司相手でもハッキリ物申す光景に驚いてしまうようですが(笑)。男女関係なくエネルギッシュに働く姿は見ていて頼もしいものです。

 

香港社会は女性で持つ

それでは、よくいただく質問にお答えします。

──香港に産休・育休制度はあるのですか?
日本での労働基準法にあたる「Employment ordinance(雇用条例)」では、「連続的雇用契約のもと40週以上勤務している従業員に連続10週間の産休(Maternity leave)を与える」と定めています。育休については特に規定はなく、この10週間に含まれるという解釈のようです。日本の感覚からすると信じられないかもしれませんが、私の知る限り、不満の声は聞いたことがありません。なお、2015年2月27日より、3日間という短期ですが、男性の育休制度(Paternity leave)が導入されています。余談ですが、香港の街を歩いていると、赤ちゃんを抱っこしたり乳母車を推している男性を日常的に見かけます。

──妊娠・出産が女性のキャリア形成に与える影響は?
連載第3回目の「香港人事労務の特徴」で触れましたが、香港では「終身雇用」という概念が日本ほどありません。自身の能力を自己評価し、随時相応しい職場に移ることが可能です。出産を機に退社し、落ち着いてから転職・再スタートを切るパターンも多くあります。流動的な雇用状況や、そもそも産休期間が短いことにより、「産休社員のために他の社員が犠牲になる」という現象も起きにくいようです。

──多くの共働き家庭が外国人家政婦を雇っていると聞きましたが?
現在、香港には30万人超の外国人家政婦(正式名称「ForeignDomesticHelpers」)がいると言われています。主な出身地はフィリピン、インドネシアなどです(中国大陸からの家政婦は今のところ許可されていません)。雇用主の家での住み込み勤務が義務付けられており、最低賃金は2018年現在、4310香港ドル(約6万1500円)となっています。全世帯の15%程度が雇っていると言われ、雇用主家族の生活を支える重要な存在となっています。かく言う筆者宅の近所にも家政婦さんを雇っている世帯があり、時おり顔を合わせると、にこやかに挨拶してくれます。上手く雇用主の家に溶け込めればいいのですが、生身の人間同士ですので時にはトラブルになることもあるようです。

香港よりも遥かに遅れている日本

日本でも東京都が外国人家政婦の受け入れを検討しているそうですが、どんな結果になるのでしょう。

以上、主だった話題を取り上げてみましたがいかがでしょうか。

その昔、毛沢東は言いました。
「婦女能頂半辺天(女性は天の半分を支える)」

この言葉の解釈は諸説あるようですが、世の中が男性と女性で回っていることは間違いありません。同じ時代を生きる人間同士、互いを尊重し合い暮らしていきたいものですね。

 


川島響子(かわしま・きょうこ)

日系コンサルティング会社マネージャー

北京に留学し、日本でのOL経験を経た後、再び中華圏へ。日系工場・貿易会社等に勤務し、現場通訳から、人事・労務、資材調達、コーディネーター、駐在員のお世話まで、あらゆる業務を経験する。現在はコンサルティング業に従事。中国・香港在住通算13年超。香港永住権保持者。