香港でビジネスチャンスを探そう Vol.2

第2回 香港で法人を設立する方法

 

前回はオリエンテーション的に「茶餐庁」という香港のビジネスモデルをご紹介しました。このコラムをご覧の方は日本からの進出を考えていらっしゃる人も多いことでしょう。今後はストレートに香港ビジネスの基礎もお話したいと思います。今回はズバリ、香港法人の設立方法です──。

現地法人設立の手順

香港でビジネスを立ち上げるにあたっては、いくつかの方法がありますが、最も一般的なのは現地法人の設立です。申請は設立代行業者に依頼するのが無難でしょう。主な手順は以下の通りです。

 

  • 社名の決定

基本的に自由に決められますが、すでに同じ名称の会社がある場合や公的機関を連想させるような名称は使用することができません。使用可否は設立代行業者に依頼すれば調べてもらうことが可能です。また、香港では英語の社名は必須ですが、中国語の社名は必ずしも選定する必要はありません。

 

  • 株主、取締役、資本金額などの決定

社名決定と同時進行で内容を詰めます。

 

  • 会社設立申請書(NNC1)の記入と定款(A&A)の作成→会社登記局への提出

概要が決まれば、いよいよ正式な設立 申請書類の作成です。こちらの書類も代行業者が作成してくれますが、内容はしっかり確認しましょう。定款は法人運営の基礎となるものであり、いったん設立した後の変更は別料金となることが多いです。

 

  • CI/BRの発行

会社登記局の審査後、問題がなければ、1~2週間前後でCertificate of Incorpo ration(設立登記証)とBusiness Regis tration(営業許可証)が発行され、晴れて法人の設立です。通常、法人設立日は Certificate of incorporationに記載された日となります。「希望の日付を設定できるか?」というご質問をいただくこと がありますが、こればかりは当局にお任せ、なのが実情です。

 

  • その他、取締役会議事録の作成、社印、定款冊子、株券の作成等があります。

以上、大まかな流れをご説明しましたが、日本にはない制度もありますので、触れておきましょう。

日本と香港の違い、及び日本にはない制度

・「代表取締役」という法的地位は存在しない

取締役は英語で「Director」となり、複 数人数を選定できますが、香港では日本 でいう「代表取締役」という概念がないた め、Directorの権限は全員平等となりま す。

 

・絶対必要な「会社秘書役」

香港で法人を設立する場合は必ず「会 社秘書役=Company Secretary」を選定する必要があります。あまりピンと来ない言葉かもしれませんが、会社秘書役は法人に関わる諸資料(議事録・株券等)の保管を行なう機関で、登記事項の変更等も担当します。香港に居住している弁護士や個人を任命することも可能ですが、会計事務所の中に該当部門があり、設立代行から会社秘書役まで一貫して請け負うことが多いようです。これは設立から同一業者に依頼することで手続きがスムーズに進むことに加え、後日行なう会計監査に必要な資料も会社秘書役が管理していることによると思われます(会計監査についてはまた改めてご説明いたします)。

 

登記情報を扱うという業務性質上、手続き書類に誤り等があれば、会社秘書役も無関係ではいられません。2人3脚となって経営を支えてもらう機関ですので、信頼のできる業者を選びましょう。

 

法人設立の「終わり」が「始まり」

その他よくあるご質問も挙げておきます。

 

Q:当面、自社オフィスを借りる予定がないのですが、法人設立だけ先にできますか?

A:できます。このようなケースを想定して、「登記住所貸しサービス」というものがあります。多くの場合、会社秘書役がこのサービスも提供していますので、相談してみましょう。同時に、郵便物等の受け取り・転送をどうするか決めておくと安心です(政府からの公的文書は登記住所に届くためです)。

 

Q:香港に行かなくても、法人設立は可能ですか?

A:可能です。法人設立は書類のやり取りのみで完了させることができます。ただし、銀行口座開設の際は代表者の来港が必要です。なお、ご参考までに言いますと、昨今、地場銀行において海外資本法人の口座設立は条件が厳しくなっており、既存口座でも調査が入ったという話をよく耳にします。すでに日本で取引のある日系銀行に打診するか、設立代行業者がパイプを持つ銀行を紹介してもらうか、などの対策が考えられます。

 

以上、ざっくりと香港法人設立方法を ご紹介しましたが、いかがでしょうか? 個人的には、代行業者に依頼すれば、 それほど手間がかからず、設立できるか と思います。費用については、各社設定 がありますので、相見積もりを取ってみ ると良いでしょう。

 

最後に、当然の話ですが、法人は設立 して終わりではありません。会社秘書 役・登記住所貸し業務などは毎年度費用 が発生し、Business Registrationも毎年 費用を払って更新する必要があります (2017年6月現在、2250香港ド ル=約3万1800円)。ペーパー・カン パニーでもこれらの費用は発生します。 せっかく作った法人なのですから、有効 に活用したいものですね。

 

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川島響子(かわしま・きょうこ)

日系コンサルティング会社マネージャー

北京に留学し、日本でのOL経験 を経た後、再び中華圏へ。日系工場・貿易会社等に勤務し、現場通訳から、人事・労務、資材調達、コーディネーター、駐在員のお世話まで、あらゆる業務を経験する。現在はコンサルティング業に従事。中国・香港在住通算12年超。香港永住権保持者。

 

 

 

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