香港でビジネスチャンスを探そう Vol.4

第4回 香港における日系企業の活躍

 

前回までに、法人設立・人事・労務の基本を一通り抑えました。
第4回目の今回は、実際この香港でどのような日系企業が活躍しているか、概況をご紹介しましょう。
全業種を網羅するのは難しいので、ここでは一般個人客向け分野に絞って取り上げます。。

 

香港は日系ショッピング・センターの宝庫

●小売り──完全に香港文化の一部となっている

日本のマスメディアはあまり取り上げませんが、香港は日系ショッピング・センターの宝庫だということをご存知でしょうか?
AEON、APITA等の大型店が複数店舗を構えています。品揃えも豊富で、例えばAEONであれば、TOPVALUなどのPB製品も置かれており、日本国内の品揃えと比べても引けを取りません。在香港日本人のみならず、地元の人たちにも大人気で、完全に香港文化の一部になっていると言えるでしょう。
香港の地場系スーパー・マーケットは店舗数が多く、地理的には優勢なのですが、基本的に食品のみの展開なのです(日用品もありますが、少数)。家電から衣料品・食品までトータルで網羅する日本のショッピング・センター方式は、買い物好きの香港人のハートを上手くつかんでいるようですね。
機会があれば、地下鉄「太古城」駅にAEONとAPITAの大型店舗が直結していますので、訪れてみてください。ここは日本人駐在員も多く住む街で、ちょっとした日本村の雰囲気も味わえます。

●外食──世界中の美食が集まる香港で和食が大健闘

ファストフード系老舗の吉野家(19 91年進出)や回転寿司系等、もともと日本食に親和性のある土地柄でしたが、2000年以後を改めて見てみまし まず、2001年の和民、そして、2008年の大戸屋進出で「チェーン店展開の日本料理レストラン」という概念が一般的になりました。それまでは日本食(非ファストフード)を食べたければ、個人経営・単店舗型のお店に行くことも多かったのです。

続けて、とんかつの梅林・さぼてん、和食ではありませんが、サイゼリヤも進出し、一定の知名度を獲得しました。また、昨今のラーメンブームもあり、チェーン展開の店舗のみならず、「らーめんチャンピオン」という、日系ラーメンの食べ歩きができる施設まで作られました。

面白いのは、香港の人々が「日本の食べ物だから」と特に意識するわけでもはなく、ごく当たり前に「そのお店の味が美味しいから」という理由で立ち寄っていることです。世界中の美食が集まる香港で日本勢が健闘しているのは頼もしい限りです。

 

●アパレル──香港人だけではなく、海外からの客で大盛況

ここ10数年で印象的なのは、やはりユニクロです。2005年に尖沙咀ミラマータワーに1店舗目を出店後、順調に店舗数を増やしています。実は1店舗目の出店地には「千色百貨」という地場系有名デパートが入っており、当時この地では無名だったカジュアル衣料店の出店が決まった時は少し驚いたのを覚えています。

ご存知の方もいるかもしれませんが、香港には以前からユニクロとターゲット層の近いカジュアル・ブランドが複数ありました。そのため、当時は日本人以外に受けないのでは、とも言われていたのですが、蓋を開けてみれば大盛況。香港の人だけでなく、大陸からの観光客や日本人以外の外国人もよく見かけます。

また、流行の最先端を行く若者向けのブランドも多数出店しています。値段は日本に比べると多少割高ですが、地場ブランドにはない魅力を求めて、たくさんの若者が買い物を楽しんでいます。

また、2015年12月には日本のファスト・ファッションをけん引してきた「SHIBUYA109」が海外初となる店舗もオープンしました。

 

●サービス業──香港人が信頼する高度な美容技術とセンス

在住者がお世話になることの多い美容関連を挙げてみましょう。美容室、エステ等、日本人スタッフの常住する店舗が一定数あります。価格設定は昨今の不動産事情により割高ですが、確かな技術とセンスを求めて、日本人だけでなく、現地の人も足を運んでいます。

実は、驚かれるかも知れませんが、香港では理美容に関する公的資格がありません。例えば極端な話、私でも明日から美容師を名乗ることは可能なのです。その点、国家資格を持った日本人スタイリストは厚い信頼を寄せられています。ネイル等は日本でも国家資格はありませんが、総じてレベルの高さは周知されているでしょう。技術力に加え、昨今は日系サロンもそれぞれの特色を打ち出し、経営しているようです。

また、意外な分野で、消費者金融のプロミスが20年以上の実績を誇っています。

成功する日本企業には共通点がある

いかがでしょうか。簡単に状況をお伝えしましたが、ここで「あれ? よくガイドブックに載っているそごうは? 三越は?」と思った方もいらっしゃるかも知れませんね。

実は、そごうはすでに香港企業に買収され、看板のみが以前の名残を残している状態です。三越も2006年に撤退し、跡地には全く新しいショッピング・ビルが開業しました。ちなみに、大丸は名前だけがミニバスの目的地名として今も健在です。

日本でも百貨店の衰退が言われて久しいですが、香港も同じ状況になっているのは興味深いところです。それと入れ替わりにショッピング・センターや、衣料品でもカジュアル・ブランドが伸びている様相も日本と似ています。

筆者の視点ですが、香港で成功している日本企業には、ある共通点があります。それは「その企業にしか提供できない何か」を有していることです。

■小売り──地場系にはない豊富な品揃え
■外食──そのお店ならではの味
■アパレル──そこだから手に入るデザイン・品質(ヒートテックは、暖房の普及していない香港で重宝されているようです)
■美容系──ローカル店では提供できない高度な技術などです。

一昔前であれば「日本の会社だから」というだけで特別扱いしてもらえる部分もあったかも知れません。しかし、企業数も増え、成熟期に入った今、それだけで生き残るのは難しいのではないでしょうか。

「日本の会社である」ことに加え、多くの消費者に選んでもらうための「オンリー・ワン」をどう繰り出すかが今後の日系企業進出のカギになるかと思います。

 

 

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川島響子(かわしま・きょうこ)

日系コンサルティング会社マネージャー

北京に留学し、日本でのOL経験を経た後、再び中華圏へ。日系工場・貿易会社等に勤務し、現場通訳から、人事・労務、資材調達、コーディネーター、駐在員のお世話まで、あらゆる業務を経験する。現在はコンサルティング業に従事。中国・香港在住通算13年超。香港永住権保持者。

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