マレーシア進出の「ツボ」 Vol.11

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マレーシアとの経済関係を強化する日本

近年、日本とマレーシアの関係は政治的にも経済的にも密接になっています。
お互いの垣根がなくなっていけば、親近感も高まっていくに違いありません。
両国の関係がこのまま、さらに深まっていってほしいものです。

 

マレーシアとの経済連携協定発効から13年

古い話ですが、2006年7月13日に「日本・マレーシア経済連携協定(EPA)」が発効しました。さかのぼること2003年末の、小泉総理(当時)とアブドゥラ首相(当時)との首脳会談合意を踏まえ、2004年1月からさっそく交渉が開始され、2005年には両国首脳会談で大筋合意し、その後、条文の交渉を経て、同年12月13日、両国首脳が協定に署名したというのが経緯です。

この協定は、「両国間の物品、人、サービス、資本の自由な移動を促進し、双方の経済活動の連携を強化するとともに、観光等の分野での2国間協力を含む包括的な経済連携を推進することを目的とする」というもので、具体的には以下の商品やサービスに関しての両国の垣根を10年かけて下げていこうという画期的な協定です。

・物品の貿易
・サービス貿易
・投資
・2国間協力(観光、農林水産、教育・人材育成、情報・通信技術、科学・技術、中小企業、環境)
・知的財産
・ビジネス環境整備
・基準認証・相互承認

 

マレーシアとの貿易高が急増

それまで閉鎖的なスタンスを崩さなかった日本ですが、小泉総理(当時)の規制緩和・構造改革の強いリーダーシップにより、日本の立場では、マレーシアが3番目にEPAを結んだ国ということになりました。

以降、順調に開放が進んでおり、目に見えるところでも、日本車の関税率低減による販売価格低下、サービス業進出時の外資規制撤廃、日本人のMM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)ビザへの優先承認など、実際にこのEPAが形となって実施されていることを実感します。

反対に日本側はマレーシア産の木材やフルーツなどへの関税率を下げているかと思います。EPAのおかげで両国の貿易高が急増しているのも周知の事実です。

しかし、まだ互いに開放し合っていない分野もありますし、全方位外交のマレーシアは日本以外の国々とはTPP(Trans-Pacific Partnership=環太平洋経済連携協定)スキームを通じてさらに風通しの良い関係を築きつつありますので、日本としては今あるEPAだけで安心していいというのは大間違いです。

 

政治と経済は表裏一体である

現在の日本でなされている大きな論点のひとつとして、TPP(環太平洋経済連携協定)を始めとした海外との付き合い方をどうしていくか? というテーマがあります。

このテーマは、かなり前から議論されてきましたが、推進派・国内産業擁護派双方の主張が折り合わないまま、着地点を見い出せず、「開国」を迫る外国勢に対しては一貫して玉虫色の回答をせざるを得ない、という何とも分かりにくい情勢が続いてきましたが、「ディフェンス」でいくか、「オフェンス」でいくかで、今後の日本のマレーシアをはじめとした海外各国とのお付き合いのスタンスが決定されていくわけです。

この決定を誤ると、「日本は見捨てられ仲間外れにされていく」という最悪のシナリオが進んでいくかもしれません。日本国民は政治と経済は表裏一体であるということを常に頭に入れておかなければいけないと思います。

 

 


鵜子幸久(うのこ・ゆきひさ)

桜リクルート社 代表取締役社長

リクルートに入社し、『ホットペッパー』の神戸・ 大阪エリアの創刊に携わり、各地の初代編集 長を務める。兵庫FM ラジオ放送(Kiss-FM KOBE)では番組審議委員を担当。2003 年 にクアラルンプールにて桜リクルート社(Agensi Pekerjaan SRM.Sdn.Bhd.)を創業。「人材紹 介事業」「ビジネス・コンサルタント事業」「日本 の学校機関誘致事業」などを通じて、アジアと 日本との架け橋となるべく活動中。 2014 年の 年頭に発行された週刊『AERA』(朝日新聞出版) では「アジアで勝つ100 人」に選ばれた。