マレーシア進出の「ツボ」 Vol.6

マレーシアの産業構造

マレーシア進出を検討する場合に、過去から現在までの産業の変遷や構造を知ることは重要だと思います。
今回は、代表的な業種である製造業・IT産業・サービス業の3分野を取り上げて説明いたします。

 

マレーシアを牽引してきた日本の製造業

現在のところ、マレーシアの産業の中でGDP(国内総生産)比率が最も高いのは「製造業」です。

1980年代から政府が外資導入を急速に推進し、製造業が発展した結果、同国のGDPの4分の1を占めるまでに成長してきました。特に日本からの投資は現在に至るまで世界最大で、1990年半ばでは、日本のパナソニック・グループだけで全GDPの10%以上に貢献した時代もありました。

その後、中国の経済開放によって多くの製造業が中国にシフトしましたが、現在では中国へのリスクヘッジのための中国プラス・ワンとしてのマレーシアが改めて見直され、製造業は現在でも中心産業となっています。

 

法人税を10年間免除する特典

IT産業の発展は、マハティール元首相の悲願であり、その実現のために、ビル・ゲイツ氏や大前研一氏など世界的な知識人の協力を得て、マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)というプロジェクトが1996年から開始されました。
今では世界的なIT企業からベンチャー企業に至るまで、多くの企業が展開しています。日本からはNTT、KDDI、富士通などの大手企業から、ソフトウエア開発会社、ゲームデザイン、マルチメディアなどの小さな会社まで進出してきています。
MSC認定企業は、法人税の10年間免除、外国人知識労働者の無制限ビザ発行などの特典が享受できます。

国民所得も人口も増加しているマレーシア

人口が他のアジア諸国に比べると少ないので、あまり注目されていないかも知れませんが、実はマレーシアは国民所得向上と人口増加が高いスコアで継続している国として、内需関連産業、具体的には、小売業、サービス業、観光業、不動産業、建設業、運輸業、教育産業などの合計GDPが、いまや製造業を上回るトレンドにあります。

中でも大型小売業の発展はすさまじく、日系のイオン・モールは国内で27店舗を展開しているほか、伊勢丹も店舗を増設しています。小売では、ユニクロや無印良品、ダイソー、オートバックスなどが積極的に出てきており、地元の競合企業を凌駕しはじめています。

また、観光業の発展も目覚ましく、その分野で大きく貢献しているのが、ローコスト・キャリアのリーダー格であるエア・アジアです。現在はマレーシアの首都クアラルンプールから羽田・成田・関空・新千歳に直行便を就航させており、さらに就航地を拡大させる戦略で、大きな話題を呼びました。

エア・アジアは日本路線に先駆けて、アジアの至る都市にクモの巣のように格安航空路線を張り巡らせ、すべての人が飛行機で旅行できる時代を到来させました。

 

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鵜子幸久(うのこ・ゆきひさ)

桜リクルート社 代表取締役社長

リクルートに入社し、『ホットペッパー』の神戸・ 大阪エリアの創刊に携わり、各地の初代編集 長を務める。兵庫FM ラジオ放送(Kiss-FM KOBE)では番組審議委員を担当。2003 年 にクアラルンプールにて桜リクルート社(Agensi Pekerjaan SRM.Sdn.Bhd.)を創業。「人材紹 介事業」「ビジネス・コンサルタント事業」「日本 の学校機関誘致事業」などを通じて、アジアと 日本との架け橋となるべく活動中。 2014 年の 年頭に発行された週刊『AERA』(朝日新聞出版) では「アジアで勝つ100 人」に選ばれた。

 

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