マレーシア進出の「ツボ」 Vol.8

尖閣問題以降のマレーシアの状況

第8回目の今回は、日中間で巻き起こった尖閣諸島の領有権問題に関して、それ以降のマレーシアの現状をお伝えします。
マレーシアの25%を中国系(チャイニーズ・マレーシアン)が占めている関係で、日本に対するバッシングを懸念する声が上がっていましたが、日本大使館前で中国系住民による小規模な抗議活動が起こったほかは平穏な状況がずっと続いています。

マレーシア人は日本人を崇拝している

実はマレーシア自体も、南シナ海の南沙諸島を巡っては、中国との領土問題を抱えています。同じく中国と領有を主張するベトナムとフィリピンとは争いが先鋭化しているため、中国政府がかなり強い姿勢で臨んでいますが、マレーシアはそういう対立構造を避け、自らはアピールを抑えているので、現在のところ、中国との関係は良好です。

前述しましたが、国民の4分の1が中国系住民なので一種の同朋意識が働いているほか、経済関係が強固でお互いの貿易高も急上昇し、双方で良好な関係を維持したいとの思惑が背景となっていることが理由です。

一方でマレーシアは世界有数の親日国です。太平洋戦争では中国や韓国と同じく日本の占領国になったにもかかわらず、マハティール首相時代からルック・イースト・ポリシー(当方施策)を掲げ、「日本から学ぼう」を合言葉に、現在に至るまで毎年膨大な人数の国費留学生を日本に送り出しています。

その見返りとして、実に40年前から多数の日系企業が進出し、高度な技術や効率的な経営手法をマレーシアに移転させてきたため、日本人は今なお一種の崇拝意識まで持たれているという感じを受けます。

日本人シニアが移住したい国

余談ですが、日本人シニアが老後移住したい国ランキングでは常にマレーシアがトップで、多くの日本人がリタイア・ビザ(MM2H)取得し、移住しています。

したがって、マレーシアは日本も中国もどちらも重要なパートナー国家というスタンスから、今後とも領土問題に関しての問題は起こらないと考えます。

今までのコラムに書いてきましたように、もともと穏健な国民性・治安の良さ・強い親日性・政治や法律の透明性・良好な気候などの理由から、安定したマレーシアに進出先を決定する日系企業が依然増加しているほか、周辺国から当地へスイッチする企業も見受けられます。

 


鵜子幸久(うのこ・ゆきひさ)

桜リクルート社 代表取締役社長

リクルートに入社し、『ホットペッパー』の神戸・ 大阪エリアの創刊に携わり、各地の初代編集 長を務める。兵庫FM ラジオ放送(Kiss-FM KOBE)では番組審議委員を担当。2003 年 にクアラルンプールにて桜リクルート社(Agensi Pekerjaan SRM.Sdn.Bhd.)を創業。「人材紹 介事業」「ビジネス・コンサルタント事業」「日本 の学校機関誘致事業」などを通じて、アジアと 日本との架け橋となるべく活動中。 2014 年の 年頭に発行された週刊『AERA』(朝日新聞出版) では「アジアで勝つ100 人」に選ばれた。

 

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