どこまで行けるか?「日本スタイル」 vol.10

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第10回 カンボジアのアンコールワットで走る

1992年にユネスコの世界遺産にも登録されたことで有名なカンボジアのアンコールワットでは、
1996年12月から毎年、アンコールワット国際ハーフ・マラソン大会が開催されています。
マラソンコースとなるアンコールワットは世界でも有数の遺跡。
私はそのマラソンに参加したことがありますが、走っている途中の風景は本当に素晴らしいです。

アンコールワットの森の中に吸い込まれてゆく

白々と明け始めた夜。地平線の向こう側から日が昇り始めると、一切の静寂から目が覚めていく。アンコールワットの敷地内に設置されたスタートラインには、全参加者3500名あまりが出発を待っている。

日本を代表するランナーの有森裕子さんも長年支援して開催されている「アンコールワット国際ハーフ・マラソン大会」は年々参加者が増えています。

アンコールワットの背景に朝日が光り出し、朝靄がけぶる早朝6時にスタートのピストルが鳴りました。一斉にスタート。先頭はカンボジア人の車椅子ランナー。それから、ハーフコース(21キロ)、クォーターコース(11キロ)のランナーが続きます。大勢がアンコールワットの森の中に吸い込まれていきます。

アンコールワットの森の中に入り込むと、再び静寂が訪れ、自分の足音だけがスタスタと聞こえてきます。神代の森の中の空気は凛としていて、汚れたものを浄化していく効果があるような気さえします。途中駆け抜ける集落では、まだ寝起きの子供が寝巻きのまま外に出て、目の前に通り行く風景を眺めています。その静けさと素朴さの中に心が洗われるような気になってきます。

いつか日々の鍛錬を結果として出したい

カンボジア人は総じて、はにかみ屋のような気がします。素朴にはにかむ笑顔は、タイ人のバランス感の良い笑顔とも違い、生活の背景や都会的な磨耗した疲れのない笑顔に感じてしまいます。あまり押しが強くなく、人が良さそうな優しい笑顔。

走りながら考える余裕があるのも、大方のランナーは最初のうちだけでしょう。途中から自分の心肺機能の限界を悟り始め、次に肢体の機能の限界を感じていきます。日常的にトレーニングをしているランナーと、我々のようなその日限りの即席ランナーは、もう全く持って違います。明日以降、体が痛むのは必定でしょう。それでも、この大会の救いは、距離の短いコースが設定されていることでしょう。

マラソン大会に行ってきた! と威張ってみても、その何分の1しか参加していないのが実際のところでもあります。日々の鍛錬を結果として出すように次回から挑みたいと思っております。

次回(第23回目)のアンコールワット・マラソンは、2018年12月2日開催の予定ですが、皆様もいつかご参加なされてはいかがでしょうか。

 

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井芹二郎(いせり・じろう)

バンコクポルタ株式会社 代表取締役社長

熊本県出身。リクルートにて、求人情報誌の創刊プロジェクト、地域活性化事業、狭域エリア事業のシニアダイレクター、メディア・プランニングと媒体設計にたずさわる。2008年、タイのバンコクでPR企画会社バンコクポルタを設立。消費意欲が高まるタイのバンコクで、トラベル・インバウンド・サポート、ライフスタイル・マーケティング、日本企業のタイ進出支援、イベント企画などを行ない、日本国内では自治体や民間企業のアドバイザーを務めている。