どこまで行けるか?「日本スタイル」 vol.4

第4回 市場にはお宝が埋まっている?

タイでモノを安く買って、日本で高く売る。かつては、そんなビジネスモデルが通用していました。
しかし、タイの物価が上がり、さらに今の円安ですと、なかなか、そう簡単にはいきません。
逆に日本でモノを安く買って、タイで高く売る、という場合も増えてきました。いずれにしろ、どちらの場合も目利き次第ということになりますが──。

 

 

目利きが価値を付け加える

タイに来たばかりの頃は、週末はよくローカル市場に出かけました。ごったがえす場内と溢れんばかりの商品にむせかえり、疲労困憊して、何も買い物しないままに帰ってきたことも度々あります。それ以来、ナイト・バザールやウイークエンド・マーケットと聞くと、ウンザリするほどの人ごみをイメージしてしまい、疲れた気持ちになって、遠ざけていました。安物しかないに違いないという思いと、あれだけたくさんの品物の中から目的のモノを探し出す苦労を考えると、ちょっと行きたくないな、と思ってしまうのです。

でも、ある日、雑貨屋の女の子と買い出しに行く機会がありました。彼女は、あれよあれよいう間に、小物やアクセサリーや靴を買い込んでいく。

「これなんか、日本で買ったら、3000円なのよ」

と、10個1000円くらいで仕入れた小物を見ています。
1日で大量の商品を仕入れ、帰宅後、ひとつひとつ吟味していく。うまい具合に日本で売れると、数倍の価格で商いできるらしい。どんなモノも、目利きが見れば、新しい価値がプラスされていくのだな~、ということが分かりました。

タイで買ったモノを日本で売る

子供の頃、押し入れから出てきた壺や掛け軸がビックリするような高値で値付けされるテレビ番組を見ました。その後に昔から床の間に置いてある掛け軸は価値があるのでは? と幼心に思い、親父に聞いたら、祖父が祖先から譲りうけたものであると言う。

だいたいそんなものが怪しいのです。

その後、掛け軸もろとも家がなくなってしまい、引っ越ししたところには、真新しい掛け軸が飾られてありました。温泉街で親父が購入したモノです。

週末、久しぶりにバンコクの市場に出かけ、偶然、植木のコーナーに盆栽らしきものを発見しました。きっと、日本の盆栽通の人が見たら「そんなのは、ゼッタイ盆栽じゃない! 認めん‼」と、怒ってしまいそうな雑なものです。

しかし、盆栽を意識しているのは理解できました。とりあえず、小ぶりなものの値段を聞くと、「150バーツ(約500円)」。中ぶりのものが「200バーツ(約680円)」。とてもデカイ手の込んでいるやつは「250バーツ(約850円)」。

唸ってしまいました。もともとの値段も安いが、いちばん立派なやつと植木に毛の生えたようなのが、たった100バーツ(約340円)の違い。農民風のおばちゃんに、何でこんなに安いのか、訊いてみました。おばちゃんは「値段のつけ方が分からん」と一言。迷わず、一番デカイ盆栽を購入しました。

果たしてこれ、日本でいくらの値段がつくか。

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井芹二郎(いせり・じろう)

バンコクポルタ株式会社 代表取締役社長

熊本県出身。リクルートにて、求人情報誌の創刊プロジェクト、地域活性化事業、狭域エリア事業のシニアダイレクター、メディア・プランニングと媒体設計にたずさわる。2008年、タイのバンコクでPR企画会社バンコクポルタを設立。消費意欲が高まるタイのバンコクで、トラベル・インバウンド・サポート、ライフスタイル・マーケティング、日本企業のタイ進出支援、イベント企画などを行ない、日本国内では自治体や民間企業のアドバイザーを務めている。

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