どこまで行けるか?「日本スタイル」 vol.8

第8回 食べないウナギはどうなるのか?

 

タイの街中や市場を、目的もなしに、ただブラブラ散歩していると、思いもよらないモノに出合う事があります。
それがまた、楽しいし、嬉しい。街中や市場は「発見」に満ちています。
皆さんも何も考えずに歩いてみてはいかがでしょうか──。

 

偶然見つけた川沿いの市場

チャオプラヤー川の側のテウェート通り。運河とつなぐこの小道に緑の市場が連なる。小道は行き止まりとなっていて、その奥は川沿いでお洒落なレストランがある。

植木を買うのなら、質・量ともにこの通りが良い。ちなみに、生花・切花なら、やはり川沿いのパックローン花市場となる。
タイの家庭では、鉢植え、大小の植物が、屋内・屋外を問わず育てられている。

みんな、こんな鉢植えをどこで買ってくるのだろう。と、デパートやスーパーに併設するフラワー・ショップや観葉植物ショップを覗くも、高級インテリア商材なみの価格だった。

このテウェート市場は、仲間と食事をしに行って、偶然見つけた。

周辺は、生鮮食料品の市場も含めた大きな市場があるようだが、この500メートルくらいの小道に集中して、植木屋というか、観葉植物などを集めた市場がある。

広大なウイークエンド・マーケットに重量のある植木を買いに行く忍耐も、スーパーで綺麗に着飾った植木鉢を買うセンスもないので、分かりやすく植木屋が並んで、車で店先につけられるこの近辺が好きになった。

汝、花を武器とせよ!

日本の盆栽に見立てた鉢植えや南国ならではの蓮やランの花、観葉植物も大小さまざまなモノが並んでいる。

緑の中を夕涼みがてら歩いていると、普段からの忙しさや喧騒も少し安らぐ気になってくる。緑のもたらす癒やし効果なのであろうか。

テレビに出ているスピリチュアル・タレントが「花や植物は人間の悪い気を吸ってくれる。室内の花が早く枯れるのは、良くない気が充満しているからだ」と言っていたが、室内に生花や植木を置いておくと、心なしかそんな効果があるような気がしないでもない。

信心は何よりも、生き物を愛しむ気持ちがなくてはいけないのである。

そんなことを考えて、市場を歩いていると、端っこのお店のタライの中にうごめくものがゴソゴソといる。覗いてみると、1匹1・5キロはありそうな大きなウナギであった。

川の近くの市場なので、魚を売っているのは珍しくないが、こんなにも大きなウナギを発見するなんて。

 

食べないのになぜ売っているのか?

バンコクで活物のウナギ屋が繁盛している昨今。地場ものでこんなにも大きなウナギに出合うなんて。少し嬉しくなって、店主にキロいくらか聞いてみた。

「キロ100バーツ(約330円)」という。

信じられない安さである。

タイ料理ではどうやって食べるのか訊いてみた。

「……モゴモゴ……もごもご……」

あんまり食べないと言っているようである。食べないモノをなぜ売っているのだろう。と思っていたら……その横にカゴに入れられたスズメがちゅんちゅん、目に入った。

なーんだ。その時に理解した。

寺のお参りで功徳を積むために逃がすウナギやスズメであったのである。すぐ近くの川で放すのだそうだ。タイでは、生物を逃がす行為が徳を積む行為として考えられている。

一攫千金を期待したウナギ・ビジネスも浮世の水と流れ、やはり生物を愛しむ心を大事にしなさいということなのであった。帰りに大型の蓮を100バーツで買って帰った。南無。

 

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井芹二郎(いせり・じろう)

バンコクポルタ株式会社 代表取締役社長

熊本県出身。リクルートにて、求人情報誌の創刊プロジェクト、地域活性化事業、狭域エリア事業のシニアダイレクター、メディア・プランニングと媒体設計にたずさわる。2008年、タイのバンコクでPR企画会社バンコクポルタを設立。消費意欲が高まるタイのバンコクで、トラベル・インバウンド・サポート、ライフスタイル・マーケティング、日本企業のタイ進出支援、イベント企画などを行ない、日本国内では自治体や民間企業のアドバイザーを務めている。

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