俺たちに明日はあるのか ──現在の「負け組」から未来の「負け組」へのメッセージ

第6回 タイで旧1万円札のババを引いてしまう

日本のバブル時代に破綻してしまった男は、このままでは死にたくない。
クレジットカードのポイントで貯めたマイレージを使って、今も東南アジアを飛び回っている。
タイでは、女に騙されたり、不渡り小切手をつかまされたり、相変わらず苦難が続く。
果たして、再び生き返ることができるのか──。

 

現金決済は実は危ない場合もある

「今回の支払いも一部、日本円の旧札を混ぜていいですかね?」

小切手の振出人が、決済代金を直接、現金で支払いたいと言ってきた。普通は期日に小切手を銀行に持って行き、振出人の口座から現金化するのだが、タイでは(タイでも?)双方の合意があれば、現金での直接決済でもかまわない。現金を受け取って、振出人に小切手を返却する。長い付き合いで信頼関係があってこそ成立するものだ。

日本円の旧札とは、1958年(昭和33年)から1986年(昭和61年)まで流通した聖徳太子が図柄の1万円札の事である。タイバーツのその日のレートで計算して、一部をその日本の旧1万円札での決済することに同意した。

20~30年前からタイに(タイ女に)沈没した御仁がチェンマイで死んじゃって、そのタンス預金から出てきたものか?

まあ元々は税金逃れで持ってきた金だろう。いずれにしろ、金は金だ。買い付け業者の知人も当時は日本ナンバーワンの都銀に日本で入金してきてたし……。

日本は、紙幣が燃えカスであろうが、破損紙幣が3分の2あれば、新札と交換できる世界でも稀な国である。

「これから、インドネシア、バングラデシュ、ミャンマーと3か月ほど回り、タイを留守にします。留守中は家内に任せておりますので、その間は銀行決済にしてくださいね」と言って、私はタイを離れた。旧1万円札は家の金庫に……。

現れては消え、消えては現れる幽霊のようなM資金が出所か?

が、ミャンマーに滞在していた時、日本の友人から「緊急です」というメールが届いた。タイから日本各地(岩手・東京・名古屋・大阪・福岡その他)へ持ち込まれた聖徳太子の旧1万円札が偽札と判明し、逮捕者まで出る騒ぎになっているというのだ。

「偽造通貨行使」で逮捕されるには、偽札と知っていて行使した場合に限るはず。友人は「その旧1万円札、(入金などするのは)鑑定した後にしてくださいね」と、私の事を案じてくれた。

ここから時系列が乱れますが、そこは御理解を──。

2015年には日本の某テレビ局が「タイ旧1万円札──日本のM資金か?」とか言って、バンコクまで来て鑑定(日本に持って帰るとそれだけで偽造通貨輸入になるから)するとかバカやっていたが、2008年当時のタイとラオスの国境では、旧1万円札100枚が150米ドルで購入できた。

そのテレビ番組でも、小生の金庫の中にあった旧1万円札をバンコクで鑑定して、「非常に精巧であり、かなり精密に調べないと分からない偽札」と判定されたわけだが、私に旧1万円札を渡したバンコクの出元は「あれは本物で、日本政府が後から、その番号のモノを偽札に認定したものだ。実はM資金の一部が流出した本物である」と言い出し、決済の取り消しには応じなかった。

こうして、私と彼の信頼関係は消失した。

タイでは事件が起こってから3か月以内に警察に届け出ないと、被害届を作成できず、刑事事件として扱わない。重要事件でも、自国民が被害を受けたわけではないからか、タイの当局が「知りませ~ん」というのには呆れてしまった。

出元の日本人は、私が3か月タイを離れるのを見越しての確信犯だったに違いない、と勘ぐりたくなる。

 


南島三郎(みなじま・さぶろう)

大阪出身の50代。日本ではマスコミの周りをウロウロしていた。リーマン・ショック後、クレジットカード破産。日本、タイ、カンボジア、フィリピンをグルグル回っている。現在、カンボジアのシェムリアップに家を借り、タイの カンチャナブリ県に農場を所有している。妻はタイ人で娘が1人いる。

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here