フィリピンの「常識」を知らずに仕事ができるか! 第七回

第7回 仕事にならないホーリー・ウイーク

フィリピンでは、クリスマスはもちろん最大の年間行事ですが、イースターも大いに盛り上がります。イースターが近づくと、フィリピン人はそわそわして全く仕事になりません。この行事にかける情熱の数分の1でもいいから仕事に向けてほしい。それが我々のささやかな願いです。

 

フィリピン人の従業員は盛り上がり、外国人のマネージャーは諦める

去る3月25日から4月1日まではイースターの休日で、フィリピンではホーリー・ウイークと言って、クリスマスに次ぐ大型連休でした。

夏の始まりである事と、お墓参りで帰省する人たちが多いので、日本のお盆のように思っていただければ良いと思います。

帰省する人やお墓参りをする人たちが多いという事は、あちこちで大渋滞が発生する事でもあります。交通マナーの悪さや貧弱な道路、スクラップ一歩手前のようなバスやトラック等々がそれに拍車をかけます。首都圏のバスターミナルには人が溢れ、身動きが取れないほどです。

首都圏ではない私の住んでいるところでも、朝早くからお墓参りに行く車で渋滞が起きていました。

とどめはそんな事情にお構いなしのイエス・キリスト受難のパレードです。十字架を担いだイエス・キリスト、背中に鞭を打ち付けて血糊で真っ赤にしたイエス・キリストが、道路を練り歩きます。

そして、その周りを取り巻く見物人。車は人の歩く速度でしか進みません。車が渋滞すると、どこからともなく色んな物売りが集まって来ます。水、ピーナッツ、キャンディー、ログ(車の窓を拭く者)等々。こうなってしまったら、もう諦めるしかありません。

そのまま辞めてしまう社員もいる

ホーリー・ウイーク前後の会社も大変です。これはフィリピンに限ったことではないと思いますが、連休前は、従業員の皆さん、浮足立って、気もそぞろです。私はもう、最大限譲って、怪我だけはしないで、と祈るばかりです。

実家が近い人たちでも移動は大変なのに、遠隔地に帰省する人たちの苦労は想像を絶するものがあります。ワーカー・クラスでは飛行機代は出せませんから一番安いフェリーか長距離バスになります。

移動に3日、滞在は半日というツワモノもいました。それに加えて、実家へのお土産という大量の荷物。バスの屋根は荷物で潰れそうです。有給休暇を取って日をずらせばいいのに、と思うのですが、みんなが集まるのでそれも難しいようです。

当然、連休が終わっても出社しない社員も出てきます。言い訳は色々ですが、まずは病気、携帯からテキストで報告するだけですから本当か嘘か分かりません。

1日だけならこれで誤魔化せますけれど、2日以上になると、病院から診断書を書いてもらって提出しなければならなくなります。

2日以上経っても出社しない社員は、まだ実家から戻って来ていない場合がほとんどです。

理由はお金を使い過ぎて帰りのバス代やフェリー代がなくなったとか、バスやフェリーに乗り遅れたとかです。

たまに里心がついてしまって、そのまま辞めてしまう社員もいます。田舎ののんびりした暮しを思い出してしまい、工場勤めに戻りたくなくなってしまうのでしょう。

 

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滝 修二(たき・しゅうじ)

日系金属加工会社 フィリピン現地法人代表

50代半ば。大学卒業後、地元の商社に就職。その後、地方公務員となる。フィリピン在住は10年余。日系金属加工会社のフィリピン工場で生産管理・品質管理を担当した後、現職。日夜、不良品対策や現場指導に頭を悩ませている。趣味は読書と釣り。

 

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