フィリピンの「常識」を知らずに仕事ができるか! 第九回

第9回 マニラでデング熱になる

先日、私はデング熱に罹りました。熱帯地域に住んで通算20年近くなりますが、マラリア、アメーバ赤痢などの風土病に罹った事がないのが唯一の自慢でしたが、とうとうその自慢もできなくなりました。歳のせいで免疫力が落ちてきたのも原因かもしれません。その顛末をお話します。

某月某日深夜、突然喉の渇きを覚えて、冷蔵庫の水を飲みに起きました。そのとき熱があるなとは思いましたが、いつもの風邪ぐらいにしか考えていませんでした。朝になって体温を測ると38度ほどありましたが、その日1日我慢すれば、3連休なので出勤しました。食欲は全くなく、解熱剤のパラセモールと水ばかり飲んで、何とかその日を凌ぎました。食欲がないので仕事帰りにコンビニに寄って、ゼリーとかプリンを買い、それを流し込んでシャワーを浴びてすぐ寝ました。

 

入院費は毎日支払う

翌朝、熱は37・8度ほどありましたが、何とか動けるので、週末の家事、買い物をしましたが、昼前からまた起きていられないほど熱が出て、寝込みました。頭痛も少しですがありましたが、それほど苦にはならなりませんでしたし、嘔吐などの症状もありませんでした。ただ、風邪と違うのは、咳や喉の痛みを伴わない事でした。夕方になって少し熱が下がって起きられるようになり、買ってあったポメロを食べ、シャワーで寝汗を流し、薬を飲んで横になりました。
3連休中はこんな調子で過ごしました。結局、熱は下がらず、これは病院で診てもらったほうがいいなと思い、出勤してすぐ、スタッフと病院に行きました。
病院ではいきなり救急治療室に連れてかれ、血液・心電図・レントゲン等の検査をされ、デング熱の判定で即入院となりました。私は、デング熱の治療法はないのだから自宅静養させてほしい、と言ったのですが、白血球の数がかなり減っているので、この数値が2日連続で上昇しないと退院させられないと却下されました。おまけに入院中は24時間付き添い人が必要で、病院でそれを頼むと時給が日給ほどもかかると言われ、会社で誰か安い付き添い人を探してもらう事にしました。
入院中はリンゲルをずっと点滴され、特に白血球を増やす治療はしてもらえず、ただ果物を食べる事と水を飲む事を推奨されただけでした。入院費は毎日請求され、そのつど会社のスタッフにATMから引き出してもらって支払いしました。

 

医療の有無も金次第

結局、3日間で退院しました。費用は10万円ほど掛かりました。リンゲルの点滴以外は1度パラセタモールの注射があっただけで、これといった治療はありませんでした。毎日の血液、血圧、体温の検査があったくらいです。
まあ、ハッキリ言って、私は金づるだったと思います。デング熱はこちらでは珍しい病気ではないので、すぐに分かったはずですし、貧乏人でしたら入院させなかったと思います。町医者にかかっていれば、自宅療養で済んでいたと思います。
あとで聞いた話ですが、私に対して輸血をしなくてはならないかもと言われたそうです。こちらでは血液銀行なんてないに等しく、輸血の場合は、親族、友人、会社関係の同じ血液型の人から血液を分けてもらって輸血するそうです。しかも、日本人は日本人同士で、との事です。AB型の人は大変苦労しそうですね。周りに日本人がいない人はどうするのでしょうか。とっても不安なフィリピンの医療です。

 

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滝 修二(たき・しゅうじ)

日系金属加工会社 フィリピン現地法人代表

50代半ば。大学卒業後、地元の商社に就職。その後、地方公務員となる。フィリピン在住は10年余。日系金属加工会社のフィリピン工場で生産管理・品質管理を担当した後、現職。日夜、不良品対策や現場指導に頭を悩ませている。趣味は読書と釣り。

 

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