フィリピンの「常識」を知らずに仕事ができるか! 第一回

第1回 日本の「常識」は通用しないと心得よ

フィリピンというと、皆さん、どういうイメージを思い浮かべますでしょうか? 治安が悪いとか、あまり良いイメージを持っていない人が多いかもしれませんね。確かに、日本人のヤクザも多いですし、日本人が殺されたりする事件も珍しくないです。ビジネスを進める上で深刻なトラブルに巻き込まれることも度々ありますし、そうなってからでは取り返しがつきません。それもこれも我々日本人がフィリピンの「常識」をよく知らないことが大きな原因だと思います。フィリピンで無用なトラブルを避けるためにはどうしたらいいか──憚りながら小職の経験をもとに色々とアドバイスさせてもらいます。

 

給料は月2回出さなければならない

フィリピンには、月に2回、給料日があります。1か月分の給料を2回に分けて支払うのです。したがって、給与計算も月に2度行なわなくてはならず、手間暇が倍かかります。この制度は、フィリピンの法律で決められているので、月1回にすることはできないのです。

これは私の邪推かもしれませんが、フィリピン人は、金銭の管理を計画的に出来ない国民性のため、こうした制度があるのではないか、と思っております。

また、年間に最低1か月分の賞与も義務づけられています。通常は年末に支払われるので、クリスマス賞与とか13か月目の給料とか呼んでおります。これは会社が赤字だろうが、経営状態には全く関係なく、絶対に支払わなくてはなりません。経営の良くない場合でも支払わなくてはならないので、本国の親会社に納得してもらうのが大変です。1年分の給料を13で割って支払っている、と説明しておりますが、本社はほとんど理解してくれません。

 

祝祭日に出社したら2倍の給与を支払う?

フィリピンの祝祭日には、2種類あります。リーガル・ホリディーとスペシャ ル・ホリディーです。

リーガル・ホリディーは毎年、日にちが決まっていて、出勤しなくても給与を支払わなくてはなりません。出勤すれば、2倍の給与を支払います。

スペシャル・ホリディーは、休みの1週間くらい前に、大統領府から突然告示されて決定します。製造業の場合、生産計画が立てにくくなり、輸出入の手続きも出来なくなるので、本当に不便です。

スペシャル・ホリディーは、出勤しなければ給与を支払わなくても構いませんが、出勤すれば休日出勤となり、30 %上乗せして支払います。

その他にも、その地域だけの休日があり、同じ工業団地内でも地域が違うと、休みの会社と平常業務の会社があるという不思議なことが起こります。

 

安易に首にすると、訴訟を起こされる

フィリピンの雇用形態は大きく分けて、正社員、派遣社員、契約社員の3種類があります。

契約社員は通常、人材派遣会社に依頼して雇用します。しかし、6か月を超えて雇用する場合は、正社員にしなくてはなりません。給与は雇用主が直接支払い ます。

派遣社員は雇用期間の制限はありません。給与は人材派遣会社が支払います。 派遣先は人材派遣会社に通常、給与の10%増しくらいの金額を支払います。

正社員は日本と同様ですが、フィリピンは労働者保護が日本より厳しいので、 正社員に登用するのは勇気が必要です。それは、1度上げた給与は、なかなか下 げることができないことと、解雇が難しいからです。

労働争議では、まず会社側(特に外国企業)が勝つことはありません。某日系企業では、社員が会社の備品を盗んで解雇されたにも関わらず、その社員が数年 後にその日系企業に対して訴訟を起こし、裁判の結果、その日系企業は敗訴して、かなりの金額を支払わされたことが あります。

また、正社員に登用した途端、勤務態度が悪くなったという話は、いたるところに転がっています。

フィリピンの「常識」は日本の「非常識」。日本の「常識」はフィリピンの「非 常識」。今後いろいろなケースを取り上げて、日本企業がフィリピンでビジネス を進める上での「落とし穴」や「地雷」について説明いたします。

 

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滝 修二 (たき しゅうじ)

日系金属加工会社 フィリピン現地法人代表

50代半ば。大学卒業後、地元の商社に就職。その後、地方公務員となる。フィリピン在住は10年余。日系金属加工会社のフィリピン工 場で生産管理・品質管理を担当した後、現職。日夜、不良品対策や現場指導に頭を悩ませている。趣味は読書と釣り。

 

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