フィリピンの「常識」を知らずに仕事ができるか! 第三回

第3回 フィリピン人の論理

 

日本人がフィリピンで日本と同じやり方でビジネスを進めていけば、当然、トラブルが起こります。フィリピンの「常識」は日本の「非常識」、日本の「常識」はフィリピンの「非常識」。無用なトラブルを避けてビジネスを進めていくためにはどうしたらいいか──。憚りながら小職の経験をもとにアドバイスさせてもらっておりますこのコラム、今回はフィリピンのちょっとした実情をご紹介いたします。

 

雨が降ると、欠勤者が続出する

フィリピンでは、雨季になり、台風が来て雨が続くと、いたるところで洪水が発生します。弊社でも、降り続く雨のため、「家が浸水した」とか、「道が洪水で通れない」などの理由で、欠勤者が続出したりします。

 

原因はもちろん、治水ができていないからですが、貧乏なフィリピン政府に、それを行なう予算はありません。災害があれば、他国からの援助が受けられるからワザと放置している、と、なかなか説得力がある噂もあります。

 

ただ、行政も、何もしないわけにはいかなかったのでしょう。数年前から、都市部ではスーパー・マーケットなどのレジ袋やファーストフード店のテイクアウトの容器を紙製にするように規制を始めました。道路などに散乱する樹脂製の袋が排水を阻害して洪水を引き起こす、との理由からです。

 

しかし、スナック菓子や肉・魚・野菜を包む袋などは従来のままですし、露天や市場では、相変わらず、樹脂製の袋が使用されています。

 

根本的に問題を解決するためにはゴミのポイ捨てをやめさせることだと思いますが、現在のフィリピンの民度では難しいです。

 

フィリピン人は計算ができない

フィリピン人スタッフに資料を頼むと、時々とんでもない計算ミスをしたまま、平気で提出してきます。彼らは検算をしないし、電卓やエクセルを使っているので間違える訳がないと信じているみたいです。

 

そして、計算ミスを指摘すると、電卓やコンピューターのせいにします。

 

先日も製品の歩留まりを計算させていたのですが、不良率がとんでもない数字になっていました。

 

当人にどうやってこの数字が出たのかを訊いて、呆れてしまいました。一昨日、A品を10個作って1個の不良で10%の不良率、昨日、B品を20個作って1個の不良で5%の不良率、2日間で10+5=15で、15%の不良率という計算をしていました。

 

同じセクションのスタッフを集めて、 何が間違っているのか分かりますか? と訊ねてみましたが、あまり理解して いなかったように見受けられました。

 

小分けされたほうが安くなる不思議さ

スーパー・マーケットや市場に行くと、かなりの種類の1回使い切りサイズの商品が並んでいます。

 

例えば、シャンプー、リンス、歯磨きペースト、衣料用石鹸、食器用洗剤、あるいは調味料など様々です。珍しいところでは、にんにく1片、食用油10CC、胡椒数粒なんてのもあります。

 

想像するに、あまりお金を持っていない人たちの需要があるからなのでしょう。

そして、それらの価格は思ったほど 割高ではないのです。日本人の感覚か らすれば、手間や包装コストを考えれ ば、当然高くなって然るべきなのです が、下手をすると、小分けした物のほ うが安い場合もあります。

 

以前、大手スーパー・マーケットで冷凍のフレンチ・フライを買おうとして、500グラムの物と150グラムの物の価格を見て、150グラムのほうがグラム単価が安くて、ビックリした事があります。小分けされた物のほうが需要が高いので安くなっているとの事らしいので菅、釈然としません。

 

売り上げ=利益と考えるフィリピン人

このような小分けされた商品がズラリと並んでいるのが、「サリサリ」と呼ばれる小さいな店です。ちょっと郊外に行けば、至るところにあります。道に面した小さいなカウンターに小分けされたお菓子や雑貨を短冊のように並べています。こんな店が5メートルとか10メートルおきにあります。

 

扱っている商品もほぼ同じで、値段も特に変わりません。1日でどれくらいの売り上げがあるのか知りませんが、せいぜい200〜300ペソ(約425〜637円=2017年8月現在)が良いところじゃないかと思います。人件費は家族でやっているのでタダ同然でしょうが、これだけでは1人分の食費も怪しいものです。

 

もっとフィリピンらしいのは、この売り上げ金をフィリピン人は利益と考えてしまう事です。少なくとも仕入れの分は取っておかなくては次の仕入れができないのに、です。

 

まあ、ほとんどの「サリサリ」は副業みたいなもので、家族のうち誰かが勤め人で、その人の給料を当てにしても身内の人間が勝手に食べたり飲んだりしているので、赤字経営からはなかなか逃れられないというか、そもそも赤字と思っていないかも知れません。

 

私が思うに、フィリピン人はこういった計算があんまり得意ではない(気にしない?)のも原因かも知れません。

 

安売りするくらいならタダであげる?

こんな話も聞いた事があります。ゴルフのロストボールを買いに行って、5袋を4袋の値段にディスカウントしろと言ったら、それは出来ないけど、2袋買ったら1袋サービスすると言われたそうです。

 

そういえば、町中で見かける看板は50%OFF、よりも、「Buy 1,Take 1(1つ買えば1つおまけ)」という看板のほうが多い気がします。

 

何だかどんぶり勘定的な気がしませんか?

 

シャンプーや歯磨きペーストは小分けされているのに、肉や魚はキロ単位なので、1人暮らしの私は、肉屋で買い物をする時は小さな声で、この肉、ハーフ・キロと言わなくてはなりません。

 

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滝 修二(たき・しゅうじ)

日系金属加工会社 フィリピン現地法人代表

50代半ば。大学卒業後、地元の商社に就職。その後、地方公務員となる。フィリピン在住は10年余。日系金属加工会社のフィリピン工場で生産管理・品質管理を担当した後、現職。日夜、不良品対策や現場指導に頭を悩ませている。趣味は読書と釣り。

 

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