在タイ日本人コンサルタントの本音 Vol.2

第2回 タイの司法制度

 

タイに進出する日系企業は近年ますます増えております。バンコク日本人商工会議所に加盟している企業数は2017年4月1日現在で1747社に上り、世界最大規模。この進出の流れはもう止まりそうにもありません。それに比例するかのように、進出する日系企業と現地パートナーとのトラブルも急増しています。前回の第1回目は「タイ進出で一番大事なのはパートナー選び」ということで述べさせていただきました。今回はビジネスを進めていくうえで考慮しなければいけない法律について取り上げます。

 

日本とタイの司法制度は大きく違う

Advanced Management Japan Co.,Ltd の代表を務めております内田です。

弊社は法律事務所ですが、社内にビザ等を取り扱う部門や、会計業務を行なう部門を備えており、プロジェクト管理、法人設立後における会計業務から問題解決までワンストップでサービスを提供できる事をモットーとしております。今後、BizAiA!のコラム内にて、これらの業務を通して、是非皆様にお伝えしたい情報を発信させていただければと思いますが、第2回目の今回は「タイの司法制度」について簡単に説明させていただきます。

まず日本とタイの大きな違いといえば、日本が判例法を用いているのに対し、タイは大陸法を用いている事でしょうか。簡単に言えば、日本の法は、過去の判例を参考に法の解釈を行ない、その判例に基づいて、法を執行します。

 

それに対して、大陸法は、過去の判例ではなく、そのつど、法の執行について解釈を行ない、事案に応じて法を執行することとなります。簡単に言えば、判例法と違い、そのつど何らかの人的解釈が加わる事になります。

 

タイ国における法の執行が、その対象によって変化したり、またそこに少なくない人為的な変更が加えられるのは、この大陸法ゆえと言えるかも知れませんし、また歴史的に見ても、タイ国では法を超えた力が存在する、ある意味では「人治国家」と言われる所以かもしれません。

法律はあっても運用がうまくいっていない

タイ国は日本同様、立憲君主制を布いており、皆様もご存知の通り、現在の軍 事政権下において憲法の改定作業中ですが、2014年5月までは2007年に制定された2007年憲法が運用されておりました。その下に民法・商法・民事訴 訟法・刑法・刑事訴訟法が存在します。

 

現在はかなりの分野における法律で改定や追加の作業が進んでおり、私の個人的な見解としては、法律そのものは、分野によっては日本よりも進んだ法律を備えているにもかかわらず、その運用がうまくいっていないという印象を受けます。

 

また、電子・通信分野や特許などの国際法に準ずる分野、そして、インターネット犯罪などの分野ではまだまだ法整備が追い付いていないのが実情です。弊社でも近年、インターネットによる被害について訴訟案件をいただく事がありますが、正直なところ、日本と同じようにはいかず、現行法の中で四苦八苦しているのが実情です。

 

タイにも日本同様、憲法裁判所や行政 裁判所、そして家庭裁判所等が設けられ ており、主に外国人が抱えるような問題 に関しては各管轄区における司法裁判所 や行政裁判所が管轄しております。

 

タイには司法試験がない

裁判所についてはまたの機会ということにして、今回はタイ国の弁護士についてご説明いたします。一言に弁護士と言っても、3種類に分ける事ができます。それぞれが日本で言うところの行政書士・司法書士・弁護士のような役割を持っています。

 

実はタイ国には日本のような司法試験が存在しません。ある意味、大学の法学部を卒業すれば、弁護士と名乗る事ができます。

また、もちろん外国人は外国人事業法の規制により、弁護士となる事はできませんが、終身労働許可証を取得した外国人は、弁護士としての助言を行なう事ができます。この法的な助言を行なうという行為がまた、もちろん外国人は外国人事業法の規制により、弁護士となる事はできませんが、終身労働許可証を取得した外国人は、弁護士としての助言を行なう事ができます。この法的な助言を行なうという行為が、大学の法学部を卒業して弁護士を名乗る者に許される業務となりま、大学の法学部を卒業して弁護士を名乗る者に許される業務となります。これを仮に「下級弁護士」としましょう。

 

次に法廷において訴訟を行なうには、タイの国籍を持ち、なおかつ弁護士試験に合格した上で、6~12か月の研修を受けなければなりません。少し短いですが、これが日本でいうところの司法修習期間にあたるかもしれません。これが「中級弁護士」。

 

そして、さらに弁護士協会において1年間の研修を行なう事によって、法廷弁護士としての資格を与えられます。これが「上級弁護士」と言えるでしょう。弊社では、この上級弁護士の資格を持たなければ雇用の対象にはしませんが、通常、数年間の弁護士業務を経験すると、裁判官や検察官に転職する事も少なくないようです。

 

タイではやたらと「知り合いの弁護士を紹介する」などと言われる事がありますが、その弁護士がどのような業務が可能で、どれくらいの専門経験値があるかを確認することが重要です。お金は払ったが、何もできずに連絡が取れなくなった、という相談も弊社には多いのです。

 

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内田知春(うちだ・ともはる)

アドバンスト・マネージメント・ジャパン株式会社代表取締役

1974 年生まれ。立命館大学大学院国際関係科 修了。インターンシップで初来タイし、終了後にタイ の大学に就職。その後、貿易会社を起業。企業 間の裁判を何度か経験した事から、そのノウハウを 活かすためにコンサルティング会社を設立。タイの 政財界とのつながりを軸にプロジェクトの立ち上げや 法律・財務のコンサルタントとして活躍中。タイの 優秀企業賞を2回受賞。アジア経営者連合会タイ 支局の副支局長も務める。「パワー・コンサルティング」を信条に総合格闘技の修練に励む。

 

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