在タイ日本人コンサルタントの本音 Vol.3

第3回 タイで法人を設立する

タイに進出する日本企業は近年ますます増えておりますが、それに比例して、進出した日系企業と現地パートナーとの間のトラブルも急増しています。前回の第2回目はビジネスを進めていくうえで考慮しなければいけない「タイの司法制度」について述べました。第3回目の今回は「法人設立」について解説いたします。

 

法人を設立するための条件

一般的にタイにおける設立可能な法人形態には、パートナーシップ(株式会社)、有限会社、駐在員事務所等、様々な形態があります。それに加えて、投資委員会(BOI)の認可事業や日タイ経済連携協定(JTEPA)認可事業などもあります。ここでは、おそらくタイに存在する外国人が関与する法人形態で最もポピュラーとも言える、200万バーツ(約650万円=2017年8月現在)資本の株式会社について解説いたします。

 

まず、なぜ200万バーツ資本かと言いますと、外国人1人の労働許可証を取得するためには、200万バーツの資本とタイ人従業員4人の雇用(ビザの種類やBOI企業の場合の例外があります)が必要である、と商法で定められているからです。

 

第1に、法人を設立するには3人の発起人を定め、次に社名を決定します。社名は商務省で照会・予約する事ができますので、あらかじめ、いくつかの社名を決めて、使用できるか確認するのが良いでしょう。

 

第2に、株主を登録します。サービス業では通常、上記の例外以外、外国資本は49%以下である必要があるため、最低株主数は3人ですが、その中でタイ人株主が51%以上を保有する必要があります。

タイ進出で一番大事なのはパートナー選び

法人設立の段階では、資本金の振り込みは必要ありませんが、実際に資本金を「振り込む」「振り込まない」に関わらず、タイ人株主の選定には細心の注意が必要です(実際の資本金振り込みは法人口座ができてからとなります)。

 

特にタイ人株主が都合上1人で51%の株を保有するような場合は、あらかじめ株式譲渡契約を結んでおくか、株の保有に関して議決権規制などを設けておく必要があるでしょう。

 

第1回の「タイ進出で一番大事なのはパートナー選び」でも言いましたが、こ のパートナーによって、その後の事業の「成功」と「不成功」が大きく左右されると言っても過言ではありません。もちろん、実際に資本を出資し、力強いパートナーとして作用するパートナーを見つけることができれば、それに越したことはないです。ですが、その後の事業のリードを日本人側で行なう場合、下手なパートナーを選ぶと、事業の足を引っ張るどころか、最悪乗っ取られる等の事態が発生しないとも限りません。

 

実際に「出資している」「出資していない」に関わらず、この手の問題に関する相談は弊社にも日々あり、タイのジンクスとも呼べる「2期目撤退」の中でも最も多い原因ではないでしょうか。

 

労働許可取得が事業のスタートライン

法人設立に関して、残りはVAT(付加価値税=納税)登録と各種許可申請(業種による)となりますが、次の段階として、第3に外国人の労働許可証取得となります。

 

タイでは、この労働許可証を取得しなければ、公文書のサイン権も与えられず、もちろん、銀行のサイン権も取得できません。ですので、労働許可証を取得して初めて一個の人間として認められるといった側面もあります。

 

余談ですが、この労働許可証があれば、タイの公共サービスも受ける事ができるようになるというメリットもあります。労働許可証を取得するには、労働を目的としたビザ(ノンイミグラントB)を取得しておく必要があり、通常は法人設立が完了次第、その法人への招聘という形で在外公館にて取得します(タイ国内で切り替え可能な場合もあり)。

 

Bビザの取得が完了すれば、ようやく労働許可証の申請を行ないますが、この時点で事業所が設置されていて、なおかつタイ人4人の雇用が行なわれている事が必要となります。

厳密な意味では、タイですので、抜け道があるにはありますが、2014年の5月以降、商務省の担当役人や、イミグレーションの係官の見回り(実際に事業所に来て確認を行ないます)が頻繁に行なわれており、あまりお勧めはできません。しっかりと法律を守って、事業に邁進される事をお勧めいたします。

 

ここまでくれば、晴れてタイでの事業のスタートラインに立ったと言えます。

 

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内田知春(うちだ・ともはる)

アドバンスト・マネージメント・ジャパン株式会社代表取締役

1974年生まれ。立命館大学大学院国際関係科終了。インターンシップで初来タイし、終了後にタイの大学に就職。その後、貿易会社を起業する。企業間の裁判を何度か経験した事から、そのノウハウを活かすためにコンサルティング会社を設立。タイの政財界とのつながりを軸にプロジェクトの立ち上げや法律・財務のコンサルタントとして活躍中。タイの優秀企業賞を2回受賞。アジア経営者連合会タイ支局の副支局長も務める。「パワー・コンサルティング」を信条に総合格闘技の修練に励む。

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