在タイ日本人コンサルタントの本音 Vol.5

第5回 タイで被害に遭ってしまった場合の手続き(総則)

海外でビジネスを進めていくうえで考慮しなければならないものとして、法律があります。

第5回目の今回は、「タイで被害に遭ってしまった場合の手続き(総則)」について解説いたします。

 

タイは邦人擁護件数が世界第1位

仕事でも観光でも、タイに長期で滞在していると、日系のお店も多く、またお金さえ出せば日本に居る時とほぼ同じような生活ができてしまうため、「海外に滞在している」という注意が希薄になってしまう場合があります。

しかし、タイもやはり外国ということで、様々な被害に遭われる日本人の方が多くおられます。タイの在留邦人数は現在7万人を超えており(在留届ベース)、国別では、アメリカ、中国、オーストラリアに続いて、世界第4位。長期滞在者を含む実数では13万人とも言われています。

また、日本の外務省によると、在外公館が取り扱った海外における邦人援護件数では、在タイ日本大使館はここ数年ほぼ第1位を独走(一時的に上海総領事館が第1位になった時期がありますが、2016年もタイが1048件で堂々第1位)しております。

日本人同士のトラブルが急増している

実際の被害としては、窃盗や強盗、事故や遺失など様々なものがありますが、これらの被害にあった場合でも、実際に動くのは、当然タイ警察。日本大使館に援護を求めた場合、もちろん、それ相応の対応はしてもらえますが、緊急の必要がなかった場合などは、自らタイ警察へ被害を届け出なければなりません。

ましてや、観光ではなく、仕事上で被害に遭った場合などは自ら対応しなければならない事が多く、手続きの煩雑さから、「いい勉強になりました」と、諦めてしまう方も多いようです。

実際の被害に関しては、大きく3つに分ける事ができるかと思います。

1つ目は緊急を要する傷害などを伴った被害。これに関しては、すぐに在タイ日本大使館に邦人援護を要請し、大使館を通じ、地元警察へ対応を要請するべきでしょう。

2つ目は傷害を伴わない遺失や事故。海外旅行傷害保険などに加入していれば、地元警察で紛失証明を書いてもらい、あとは自身で解決する事ができますし、事故に関しても自動車保険に加入していれば、昨今の保険会社は日本と変わりなく対応してくれますので、問題ありません。

3つ目が弊社へ相談に来られる方も多いのですが、緊急を要しない被害。つまりこの類で一番多いのが、金銭に関わるトラブルとなります。

最も多いものとしては、タイ人が絡む詐欺被害、また窃盗被害などですが、最近は日本人同士のトラブルも増加しております。

 

警察はあまり当てにならない

ではこういった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

日本なら刑事事件であれば警察に被害届を出し、あとは警察が捜査を行なってくれますが、タイでは、「よほどの事」がない限り、早急に動いてくれることは稀です。

よほどの事というのは、被害があまりに悪質であった場合や、被害額が高額であった場合、また警察にコネクションがあったり、大使館から要請があった場合と様々ですが、もしそのどれにも当てはまらない場合は、所管の警察署で被害届を出し、そのままという事も少なくありません。

ですので、このような場合は、被害届を出した後、こちらから証拠などを揃えて提出し、捜査方法や「落としどころ」を要請しなければなりません。

少し不思議に感じられるかも知れませんが、この手法は何も警察に限ったことではなく、その後、裁判になった場合でも大きな変化は見られない場合が多いのです。

特に加害者がタイ人で、被害者が人の場合などは顕著で、こちら側からできる限りの証拠を提出し、捜査状況などを逐一確認しておくことが大事で、それを怠った場合、それ以上の進展は見られないということも少なくありません。

もちろん、弊社ではこれらの事を理解した上で、有効な手続きを行ない、被害回復を図るのですが、やはりここは海外であるという事を常に意識し、そもそも被害に遭わないよう、常日頃から注意を怠らない事が一番大事なのではないかと考えます。

 

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内田知春(うちだ・ともはる)

アドバンスト・マネージメント・ジャパン株式会社代表取締役

1974年生まれ。立命館大学大学院国際関係科終了。インターンシップで初来タイし、終了後にタイの大学に就職。その後、貿易会社を起業する。企業間の裁判を何度か経験した事から、そのノウハウを活かすためにコンサルティング会社を設立。タイの政財界とのつながりを軸にプロジェクトの立ち上げや法律・財務のコンサルタントとして活躍中。タイの優秀企業賞を2回受賞。アジア経営者連合会タイ支局の副支局長も務める。「パワー・コンサルティング」を信条に総合格闘技の修練に励む。

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