「ボータイ」を制する者がベトナムを制す Vol.1

第1回 「ボータイ」が分からないと、ベトナムではビジネスができない

ベトナム人の気質を最もよく表すキーワードが「ボータイ」です。この「ボータイ」と上手く付き合えないと、ベトナムで事業を成功させるのは 難しいです。皆様には全く馴染みがない言葉かと思いますが、本コラムではその「ボータイ」を追究していきます。

 

読者の皆様にご挨拶と自己紹介から

読者の皆様、はじめまして! ベトナムはホーチミン在住の雑文書き、「29 屋」と申します。

 

1995年に初来越以来、食品関係の仕事をするかたわら、「在住長いんだから、何かベトナムについて書けるでしょ?」というご依頼があれば、もろもろ浮世の義理で断らずに引き受けつつ、ベトナム嫁と一男一女との生活に追われる44歳、三重県四日市市出身、風泊の日本男児であります。

 

今回は、ビジネスコラムとのこと。ネット社会の現代、イイカゲンな数字を筆を滑らすままイイカゲンに書き散らかしていると、あっという間にボロが出るし、もろもろの法律やインフラなど、ビジネス環境が日一日と整備されていくベトナムにおいて、私のような零細企業家が出る幕など、これっぽっちもないような気がして、最初は執筆をお断りをする予定だったのですが……。

 

「いやいや、そんな難しい話ではなく、ベトナムで仕事していて困ったこととかを面白おかしく書いてくれたらいいんですよ」と、担当氏のお言葉。

 

というわけで、身のほど知らずにも、お目汚しのコラムを書かせていただきますので、生温かい目で見守っていただけたら幸いです。

 

ベトナム人の気質を最もよく表すキーワードが「ボータイ」である

さて、このコラムのタイトルに使われているキーワード、「BOTAY(ボータイ)」とは何か?

 

直訳すると、「ハンズアップ」。つまり 「お手上げ」ということです。タイならば、「マイペンライ(気にしない)」。日本ならば「どーも、どーも」。アラブ圏ならば「インシャラー(神の御心のままに)」などなど、各民族の民族性を象徴する、シンボリックな常套句ってありますよね?

 

私が思うに、ベトナムの場合は、この 「ボータイ(お手上げ=どうしようもない)」。

 

長い歴史の中、常に大国の圧力にさらされ続けた、この国の人たちは、長いものに巻かれて生き残ることこそ、至高の処世術であるという「弱者の知恵」がDNAレベルで身に染みついているようで、お役人、上司、嫁さんと、とにかく「強いもの」には絶対に逆らわない。

 

約束した納期や品質が守られないのも、法律や為替レートが変わって、契約の価格よりも大幅にコストが上がったのも、みーんな、みんな、私のせいじゃないもんね。

 

「ボータイ!」

 

時に、ビジネスにおいて最も重視されるはずの、法律だの、義理人情だの、契約だの、どんなことも、「だって、仕方ないじゃん」の一言で済まされ、涙と煮え湯を飲まされた日本人の数は、ベトナムビジネスブームが始まって以来、どれほどになるのでしょうか。

御社は本当にベトナムでビジネスをやる必要があるのですか?

「チャイナ・プラス・ワン」とやらが、叫ばれる昨今。識字率が高く、勤勉で手先が器用な親日国というイメージのあるらしいベトナムは、進出すれば、即成功が約束された「楽園」のごとき報道がされているようですが、一本の桜の木の下には、何人もの屍が埋まっております。

 

社運をかけて、資産と労力を突っ込んだはいいけれど、2階に上げられて梯子を外され、文句を言っても、返ってくる返事が「ボータイ!」、で終わりでは、泣くに泣けません。

 

あせらず、気負わず、足元を見透かされないように、ゆっくりと、御社とベトナムとの相性を判断していきましょう。拙稿が、その一助になれば、幸甚です。では、好い一日を!!

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29屋(にくや)

在ベトナム22 年。本業である食品卸し・小売業のかたわら、「29屋」のペンネームにて、日越の仕事や人間関係を面白おかしく観察したコラム連載や講演、テレビ出演などを多数こなしている。

 

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