「ボータイ」を制する者がベトナムを制す Vol.3

第3回 ベトナムって、結局、お金持ちなの?

        開発途上国なの?

経済が好調と言われるベトナムですが、実際のところはどうなんでしょうか。今回は、ベトナム人の購買力の変遷について、雑感をお話しさせていただきます。

 

誰かが儲かる時には、別の誰かが儲からない

ビジネス上、開発途上国へ進出するメリットといえば、「買いたい&作らせて輸出したい」業種であれば、「人件費が安い」。「持ち込んで売りたい&作って売りたい」業種であれば、「経済発展→将来、市場が成長する」。ということが、業界の如何を問わず、言えることではないでしょうか。

簡単に言えば、進出先の国民が「安い給料で満足して、たくさん働いてくれるほうが嬉しい会社」と、「高い給料をもらって、じゃんじゃんいろんなモノを消費してくれるほうが嬉しい会社」があり、両社が満足できるバランスというのは、なかなか存在しないし、あっても長続きしないような気はします。

1995年VS2017年のベトナム

ここ、ベトナムが初めて注目された1995年頃、私が初めて、この地を踏んだ頃、ベトナム人の給料は、といえば都市部のワーカーでも、だいたい数十米ドル程度。

大企業のマネージャーでも数百米ドル台(しかも前半ぐらい)というのが相場だったような気がします。

フォー(ベトナムの米麺料理)が、1杯40~50円ぐらいで食べられたし、コーヒー1杯は20円くらいでした。

パソコンはおろか、携帯電話なんて誰も持ってなかったし、家を買うどころか、新車のスーパーカブが至高の贅沢品扱い。

海外旅行なんて、予算的にも、社会主義式「移動の自由」的観点からも、夢のまた夢でした。

ところが今や、バイクタクシーのドライバーや、市場のおばさんでさえも、スマートフォンを自在に操り、投資目的でいくつものマンションや物件を所有するヤング・エグゼグティブの羽振りの良さは貧乏日本人を圧倒する勢い。

桜の季節にあわせて、日本に「爆買い」の観光旅行に出かける若者たちも、珍しくはなくなってきています。

都市部に関しては、日本よりも割高なサービスや商材も多くなってきており、単純に、「開発途上国=物価が安い」という図式は、もはや当てはまらなくなってきていますが、これからベトナムに進出しようともくろんでいる皆さんのうち、果たしてどこまでそのあたりのバランスを認識&理解されているものでしょう?

今のベトナムで、できること、できないこと

確かに、国民の生活水準は、昔と比べ物にならないほど上がってきているベトナムの現在。

昔であれば、みんなが喜んで引き受けていたような「3K」仕事なんか、今や成り手がいないと聞きます。

「安かろう」の人海戦術で薄利多売のメリットを追いかけるには、正直、遅きに失しているでしょう。

しかし、高品質の手作業=職人技が必要になってくる付加価値の高い加工作業については、まだまだ、勤勉でルーチンワークに向いているベトナム人ワーカーの優位性・経済性は高いようです。

量より、質。

勝負のやり方を工夫すれば、まだまだベトナムは「工場」たりえるのではないでしょうか。

反面、ベトナム人の購買力が上がってきて、「良いモノ」にお金を使うようになってきたからといって、「日本で小売り価格100円のものを、輸送コスト関税その他払って300円ぐらいで売る」商法が、いけるかどうかは、難しいように思います。

日常ベースでは、ベトナム人の財布の紐は固いですし、クオリティーの違いと商品の安全性などが「天と地」レベルの違いでない限り、タイやマレーシアなど近隣諸国産や、韓国・中国企業の製品を買って済ますことが、まだまだ多いようです。

「買う」のも「売る」のも、なかなか一筋縄では、いかないものですね。では、好い一日を!

 


29屋(にくや)

在ベトナム22 年。本業である食品卸し・小売業のかたわら、「29屋」のペンネームにて、日越の仕事や人間関係を面白おかしく観察したコラム連載や講演、テレビ出演などを多数こなしている。

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