いまも僕を刺激するベトナムという国のこと Vol.2

第2回 ハノイとホーチミンシティーってどう違うの?(その1)

 

ベトナム最大の都市は南部にあるホーチミンシティーです。しかし、首都は北部にあるハノイ。こちらはベトナムで2番目の大都市。一口にベトナムと言っても、南と北は気質も文化も風土も大きく違います。ハノイとホーチミンシティーはどう違うのか──。これから数回に渡って取り上げていきたいと思います。

ベトナムの2大都市ホーチミンシティーとハノイ

コンサルタントとしてホーチミンシティーに滞在しはじめてしばらく経った頃、東京の営業さんから急ぎの連絡を受けました。

 

「お客さまが明日からベトナムへ出張されることが分かりました。ついては明後日の視察をコーディネートしてほしいということです。大事なお客さまなので、よろしくお願いします」

 

「明後日って……」

 

企業視察というのは、訪ねていく側、迎える側のいずれにとっても貴重な出会いの場です。しかし訪問先はあくまでも営業中ですから、やはり丁重にお願いして調整を進めたいところ。

 

「明後日の朝イチ、よろしくお願いします」と気やすくお願いできるものでもなく、頭を抱えましたが、親しくさせていただいている先様へお願いしまして、何とか日程を組んで、その日のうちに東京へスケジュールを送りました。

 

ベトナムは日本からはまだまだ遠い国

あとは空港へのお迎えを手配するだけ という段になり、「お客さまがこっちへ到着される飛行機は明日の何時?」「えーっと、夜10時過ぎにハノイ到着に なってます」「……ハノイ? ホーチミンシティーじゃないの!?」「ええ、ハノイってことですが……まずかったですか」「まずいも何も……」

 

我々がいるのはベトナム南部のホーチミンシティー、お客さまがいらっしゃるというハノイは陸路1700キロの北です。日本でいえば本州の北から南までくらいになります。青森に到着されるお客さまを下関へお連れするという話ですから、お迎えはおろか、翌日の視察など、とうてい無理な相談です。

 

「あなた、自分とこのベトナム子会社がどこにあるか知らないんですね……」

 

営業さんの詫びを聞くのもそこそこに電話を切り、さっきアポイントをいただいたばかりの会社へ今度はキャンセルのご連絡。たっぷり冷や汗をかきました。

 

東京に対しては「もうちょっとベトナム展開に興味を持っといてくれよ」という恨み言はあっても、しかし、知らないというのはこういうことです。東南アジア各国の国土はけっして広くありませんし、また都市部はごく限られているという認識自体にも誤りはありません。お得意様がベトナム出張と聞いて、「しからば当社のベトナム駐在員にご案内させましょう!」と営業さんが張り切ったのも無理はありません。

 

一連のトラブルを聞いた当時の社長がメールをよこしました。

 

「堀さんにはご迷惑をおかけました。まったく、神は細部に宿る、ですね」 細部じゃねぇんだよ!日本から見れば、ここは、やはりまだまだ遠い国なん だな、と認識を改めた一件でした。

 

日本人はハノイとホーチミンシティーの関係をうまくイメージできるか?

「ベトナムはハノイが首都なんでしょ? じゃあ、ホーチミンシティーというと何なの? 東京と大阪みたいな感じ?」というお尋ねをうけます。

 

ホーチミンシティーは「ベトナム最大の商業都市」ですが、日本の場合は東京が首都でもあり、最大のビジネスセンターでもあるわけですから、日本の例では二都の関係をうまくたとえることができません。

「じゃあワシントンDC(首都)とニューヨーク(商業都市)か」

 

しかし、首都のハノイだって、ホーチミンシティーに次ぐ大都市です。ワシントンDCはニューヨークに比べて小さすぎるのではないかという印象。

 

「北京と上海?」

 

もしかしたら、そんな感じなのかな ……と腕組みしても、いまだにピンとく るご説明ができません。

 

長くハノイはハノイ、ホーチミンシティーはホーチミンシティーで日本人社会の交わりもそれほど活発ではなかったと聞く2大都市。しかし、少なくともIT企業で働く日本人にとっては、もうそれほど遠く離れているようには思われません。

 

同じ国のNo.1とNo.2という2つの都市は、果たしてどれほど違うのか。あるいは変わらないのか。我々が、ハノイに、ホーチミンシティーにこだわるとき、我々は何にこだわっているのか。そもそも、ベトナムの人々と社会にとって、ハノイとは、ホーチミンシティーとは何を意味するのか。筆者の経験をたよりに考えていきます。

(この項、次回に続きます)

 

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堀真一郎(ほり・しんいちろう)

株式会社Wakka Inc. グループ経営者

東京とベトナムのホーチミンシティーを結んでウエブ・システムのオフショア開発/BPO(業務のアウトソーシング)受託を手がける株式会社Wakka Inc. グループの創業者。株式会社RNA コンサルティングの代表取締役も務める。2011年に日系IT企業起ちあげ支援コンサルティングでホーチミンシティーでの活動を開始。現在は自社グループの経営にあたる。

 

 

 

 

 

 

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