ベトナムで会社を設立する

第1回 新しい投資法と企業法が施行される

 

2014年11月のベトナム国会で、新しい投資法および企業法が可決されました。これらの新法は2015年7月1日より施行され、今までの投資法と企業法は失効いたしました。その新法の内容について、これから数回に分けて説明していきたいと思います。ただし、本稿は、新法に基づく内容とはなっておりますが、詳細については、まだ不明な部分があることを、あらかじめご了承ください。

 

サービス業の進出が加速

2014年のベトナムは、日系企業の進出にとっては大きな転換点となった年で、進出の主流が製造業からサービス業に移行した年と言えます。

 

大きな理由としては、当時の円安があります。日本での輸入価格だけを取れば、生産拠点を日本からベトナムに移転する理由は、現時点での為替レートではなくなっています。

 

その一方で、サービス業の進出が活発化しています。業種的には、流通・飲食・教育・医療・美容などです。日本政府もサービス業の進出を支援しており、この流れは今後も加速するものと考えます。

 

そして、2015年7月からは外資も不動産物件のサブリースが可能になったため、今後は、不動産業、ホテル業などの進出も活発化しそうです。

 

進出に当たっての3つの注意事項

(1)ベトナムでは、旅行業、物流業(一部の事業では100%外資が可)など一部の例外を除いて、サービス業も含めてほとんどの分野で、100%外資で会社の設立が可能です。

 

(2)合弁だと、投資登録証明書の取得が容易というのは、大きな誤解です。外資100%でも1%でも、まったく同様に審査されます。

 

(3)飲食店などで、ベトナム人の名義借りが広く行なわれておりますが、トラブルも多発しています。その問題点は下記の通りです。

 

・ 法的な出資者ではないので、権利もなく、非常に弱い立場に立たされる。

・ 利益が出ても、海外に配当を送金することができない。また、利益を外貨で受け取れない。

・ 事業に失敗して清算した場合も、残金を海外に送金できない。

・ 多額の名義借り料を支払う必要がある。

 

ベトナム企業の場合、遵法上の問題があっても、行政当局の対応がゆるいこと も、名義借りの理由のようです。ただし、現時点ではそうでも、実質は外国人の所有であることを当局は知っており、今後は厳格に扱われる恐れも十分あります。

 

ですので、特別な理由がない限りは、外資100%とすることをお勧めします。

 

ベトナムへの進出形態

外資の進出形態には、以下のようなものがあります。

1.会社の設立

2.既存企業への出資、株式の購入

3.PPP契約(官民パートナーシップ)

4.BCC契約(事業協力契約)

5.支店の設立

6.駐在員事務所の設立

上記5(支店の設立)での進出は、銀行などに限られています。また、6(駐在員事務所の設立)の場合、調査や本社の営業支援を行なうことはできますが、販売、サービスの提供などの事業は行なうことはできません。

 

設立できる会社の種類

①有限会社

②株式会社

③合名会社

④私営会社

外資のほとんどは①(有限会社)です。 ①の場合には、出資者が1社(1名)でも 設立が可能だからです。出資者が1社 (あるいは1名)の場合は、一人有限会社、 複数となる場合は、二人有限会社となり ます。②(株式会社)も徐々には増えてお りますが、出資者が3者(法人、個人と もに可)以上必要になります。①②の場 合、ベトナム側が出資して、合弁とする ことも可能です。

 

 

次回は、投資登録証明書の取得、会社設立の流れ、会社設立申請の受付や審査などについて説明いたします。

 

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斉藤雄久(さいとう たかひさ)

エー・アイ・シー株式会社 代表取締役社長

早稲田大学社会科学部卒。ベトナムの将来に関心を持ち、大学卒業後、ハノイ大学に留学しベトナム語を学ぶ。その後、会計事務所系のコンサルティング会社として、2008 年にAIC VIETNAM CO., LTD. を設立。主に日系企業のベトナム進出(法人設立)から進出後の経営管理(会計・税務・人事・労務等)までをワンストップで支援している。現在はハノイ、ダナン、ハイフォンに事務所を構え、従業員数は日本人4名を含む約80 名。JETRO(日本 貿易振興機構)ハノイ事務所とは顧問契約を結んでいる。

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