ベトナムで会社を設立する Vol.3

第3回 企業法と細則となる政令78について

 

ベトナムでは、2015年7月1日より、新しい投資法・企業法が施行され、ビジネス環境が大きく変化しています。その施行細則となる政令「No.78/2015/ND-CP」は、2015年9月14日付で公布されました。今回はその内容に関して解説します。

 

既存企業に対する政令

投資許可書、投資証明書(以下、ライセンスと呼称)を取得している既存の企業に対して、同政令は下記のように述べています。

 

(1)企業はライセンスに記載された内容通りに活動を持続でき、企業登録証明書の取得手続きを強制されることはない(同政令第81条4項)。

 

(2)企業が経営登録内容の変更を行なう事は問題ないが、企業登録証明書を取得したい場合は、ライセンスおよび税務登録証明書の公証写しを送付して申請する(同政令第81条6項)。

 

企業登録証明書に記載された企業コード番号は、その後の税務申告の際の番号になります(同政令第8条1項、9項)。そのようなことで、企業登録証明書の取得後に、税務登録証明書は不要になりますが、その原本の返納に関する規定は、現時点ではありません。

 

これに関しては、ハノイ市とホーチミン市では、回収の要求はないようですが、ダナン市などでは当局が回収しています。

 

なお、上記の手続きの窓口は、企業の所在地における計画投資局の経営登録室となります(同政令第13条1A項)。工業団地やハイテク・パークに進出している企業も、窓口は管理委員会ではありませんのでご注意ください。

 

会社印鑑に関する規定

(1)企業はその支店・駐在員事務所を含めて、会社印鑑の形態・内容・数に関して決定する権限を持ちます(同政令第34条1項)。企業法第44条1項に基づき、企業は印鑑を自身で作成できますが、本政令に基づき、企業の支店・駐在員事務所の印鑑に関しても、同様の規定が適用されるようになりました。

 

(2)企業およびその支店・駐在員事務所が、会社印鑑の使用・変更・破棄・数量の変更を行なう場合、それぞれの所在地の計画投資局の経営登録室に、企業登録情報サイトへの掲載依頼のため、通知を行なう必要があります(同政令第34条1項)。

 

(3)上記の通りで、企業登録証明書を取得すると、企業にはコード番号が付与されます。会社印鑑には、少なくとも企業の名称コード番号の刻印が必要(企業法第44条1項)ですが、その条件が満たされることになります。そのようなことで法規上の規定はまだありませんが、企業登録証明書を取得した既存の企業に対して、従来の印鑑を返納し、新しい会社印鑑を作成するよう当局が指導しています。

 

企業登録情報サイトへの掲載

企業登録証明書、その経営登録分野、設立株主、外国人株主の変更を承認された企業は、企業内容を公表するために、企業登録情報サイトに掲載して、当局にその代金を支払う必要があります(同政令第55条2項)。その額は1回につき30万ベトナムドン(約1439円=2017年8月現在)です(財務省の通達No.106/2013/TT-BTC第1条5項)。

 

電子申請は可能ですが……

企業登録証明書の申請は、ウエブサイトからの手続きも可能です(同政令第 35条~38条)。これは外資企業にも適用されます。ただし、投資登録証明書の電子申請はできません。電子申請には、以下の2つの方法があります。

 

(1)電子署名の使用:情報入力、スキャンした書類の送付(同政令第37条)。

 

(2)経営登録アカウントの使用:情報入力、スキャンした書類の送付、原本の納付(同政令第38条)。

 

当局にヒアリングしたところ、(1)の場合には情報を入力する項目と、書類の記載内容に違いがあり、何度も再入力しないとならないそうです。また、(2)の場合には当局が3営業日以内に入力内容を確認しますが、その後に書類の原本を当局が確認するため、さらに営業日で2日かかります。

 

上記のような理由から、現時点での電子申請はお勧めできません。

 

投資登録証明書を取得する

  • 企業登録証明書の発給までの期間は、申請から営業日で3日です(同政 令第28条1項)。

 

  • 複数の法的代表者を置く企業の場合、企業登録証明書の申請書類におけ る各代表者の署名の法的効力は同等となります(同政令第4条1項)。

 

当政令は政令No.43/2010/ND-CP、No. 05/2013/ND-CPに代わり、2015年 11 月1日より施行されております。ベトナ ムに進出する投資家にとっては、まずは投資法に基づく投資登録証明書の取得が、第1段階の手続きとなります。

 

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斉藤雄久(さいとう・たかひさ)

エー・アイ・シー株式会社 代表取締役社長

早稲田大学社会科学部卒。ベトナムの将来に関心を持ち、大学卒 業後、ハノイ大学に留学しベトナム語を学ぶ。その後、会計事務 所系のコンサルティング会社として、2008 年にAIC VIETNAM CO., LTD. を設立。主に日系企業のベトナム進出(法人設立)か ら進出後の経営管理(会計・税務・人事・労務等)までをワンストッ プで支援している。現在はハノイ、ダナン、ハイフォンに事務所を 構え、従業員数は日本人4名を含む約80 名。JETRO(日本貿易 振興機構)ハノイ事務所とは顧問契約を結んでいる。アジア経営 者連合会ハノイ/ダナン支局長も務める。

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